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マダガスカルでクーデター 大統領が亡命

9〜13分

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マダガスカルでクーデターが起こり大統領がフランスの手引で亡命したようである。日本から遠く離れた小さな国の亡命騒ぎでありこの国では「よくあること」のように思えるが、世界中に広がるGen Zの抵抗運動の成果という側面は注目すべきだろう。

このところフランス政局が騒がしくなっており(現在は新しい首相が決まったが極右・極左が不信任投票を行うと主張している)France24を定期的に見ている。するとマダガスカル状勢が不安定になっているという記事が目に入るようになった。

フランスから独立したマダガスカルではまだまだ国の69%が貧困状態にある。読売新聞は次のように書いている。

マダガスカルは人口の69%(21年)が国際貧困ラインの1日3ドル(約460円)以下で生活し、安全な飲料水を利用できるのは22%にとどまる。国民の74%が農業に従事するが、気候変動の影響で生活がさらに苦しくなっている。

マダガスカルでクーデターか、所在不明の大統領「違法な権力掌握の試みが進行中だ」(読売新聞)

そんなマダガスカルではSNSの影響を受けた若者(Z世代)を中心に抗議活動が広がっていた。大統領は軍を使って抗議活動を抑えようとしていたが軍が協力せず抗議活動に乗ったため、大統領がフランスの手引で国外脱出したようだ。

いつもご紹介しているBBCやCNNは旧英領のニュースが中心だがフランスは旧フランス領のニュースを扱うことが多い。

事態は次第に悪化してゆきFrance24は「フランス軍の手引で大統領が国外脱出したようだ」と伝えている。

日本にはあまり関係がないニュースのように思えるが、Z世代が主導する抗議活動が実際に政府を転覆させてしまった事例としては注目に値する。アジアでもバングラディシュの成功事例があるが、最近ではインドネシアやネパールでも激しい抗議活動が行われていた。

Initially, Gen Z Mada was co-ordinating what was going on through social media sites such as Facebook and TikTok. A committee was created to organise further demonstrations following a meeting between Gen Z Mada, civil society groups and local politicians.

Behind the Gen Z protesters who want to force Madagascar’s president from power(BBC)

こうしたデモはSNSを中心に核がない状態で拡散する。核がないので問題解決のためのアイディアは持たない。先進国・発展途上国を問わず、どうSNSと付き合ってゆくのかという課題が統治者に突きつけられていることがわかる。

例えばフランスでもSNSベースの抗議活動が広がっていて落とし所がない「不信任の無限ループ」によって予算作成が滞っている。

アメリカ合衆国でも虚偽情報が蔓延している。トランプ大統領はその一部を利用しさらにはAI動画を使って自ら「扇動」したりしている。トランプ大統領はうまく抑えているつもりなのだろうがやはり予算は成立しておらず、軍人の給与を捻出するのに苦労している。やっと2週間分の賃金を確保した状態で来月のことはわからない。

トランプ大統領がすべてのSNSを掌握しているわけではない。このため反トランプ運動はANTIFAと一括りにされ「テロ」と認定された。トランプ大統領は既存メディアもANTIFAと連携しているなどと主張している。

一見デタラメに見える主張だがそもそも統治能力がないトランプ大統領が反政府運動を抑えるためにはこのように主張するしかないという一面もあるのだろう。

ただしアメリカ合衆国では日常空間で大量殺人が起きるようになっている。週末に2つの大量銃撃事件が起きたのだがそもそもこの手のニュースがトップニュースになることはなくなりつつある。ある日突然日常生活空間で命を奪われるという理不尽な状況が新しい日常になりつつある。

全体的に少子高齢化が進む日本ではSNSによる政府転覆などは起こらない。代わりに政治家に対する嫌がらせなどが局所的に行われており「民主主義の危機だ」などと騒ぎになっている。