9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


早くもTakaichi Always Chickens Out(TACO)観測

7〜10分

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XでBloombergにコラムを書いているリーディーさんの発言について言及されているポストを見つけた。既存のマスコミが日本会議などと絡めて高市早苗新総裁を悪魔化することに苛立ちをつのらせているようだ。実際に朝日新聞は古い派閥政治の復活などと書き立てている。しかし実際にインパクトが出そうなのが世論と金融市場の動向。円安による食料価格の高騰などが懸念される展開で世論が動揺する可能性があると見られている。見出しで反応する高市支持者はこれらの動きをごっちゃにして「既得権益が高市早苗氏が「正しい道」に進もうとするのを阻止している」と騒ぎ出すかもしれない。

高市早苗新総裁誕生の次の日のメディアはご祝儀相場的に「高市トレードが始まった」と株高を歓迎していた。ところがその空気が変わりつつある。円キャリートレードが復活し円安が止まらない。一時151円まで円が売られている。

さすがに金融の専門家はこの動きを読んでいて高市トレードには揺り戻しがあるだろうと予想している。The Priorityは本石町日記を引き合いにTakaichi Always Chickens Out(TACo)というフレーズを紹介していた。有権者は確かに株高は歓迎するだろうが円安が行き過ぎると物価高になるため「インフレ懸念」から世論が反転するだろうというわけだ。

ただし、政治を勝ち負けで判断し「これからは日本のターンだ」などと言っている人たちがこのようなプレゼンテーションを理解できるとはとても思えない。マスコミの「反高市キャンペーン=アベ政治の復活」のメッセージと区別がつかなくなるものと考えられる。

確かにリーディーさんが懸念するように「行き過ぎた悪魔化」の動きはある。保守界隈がマスゴミとして忌み嫌う朝日新聞・テレビ朝日は「第2次麻生政権」というラベル貼りをして今回の論功行賞人事を批判している。

円安をもたらしている円キャリートレードは「アコード」により政策的に金利を低く抑えてきた安倍政権のおきみやげの一つ。安倍政権の初期には円高は悪者扱いされていたが、安倍政権は企業の国内回帰のための施策を打たなかったので円安によってもたらされるメリットは消え去り、円安=インフレという図式が定着してしまっている。

いずれにせよ、財務省にとっては「美味しい展開」になっている。宏池会の流れをくむ岸田政権は「財政健全派」であり石破政権もその流れを引き継いでいる。しかし彼らが財政再建を強調すれば強調するほど「拡張財政派」を勢いづかせてきた。

麻生太郎氏や鈴木俊一氏のような財務省に近い人物に高市政権を監視させつつ「まずはやりたいようにやらせる」ことで、拡張財政主義で何が起きるのかを見せしめることができる。つまり財務省にとって見れば財政拡張派(とその挫折)の登場は(代替提案がない限りにおいては)メリットにもなるということだ。宮沢洋一税制調査会長の不在も財務省に取っては美味しい話だろう。

高市氏は選挙キャンペーン中に財務省に「日本が再び成長できるような提案をすべきだ」と迫っているが、これは高市氏の周りに経済ブレーンがいないことを伺わせる。結局、高市氏は財務省に泣きつく他はないと考えると、野田政権で起きたようなことが高市政権にも起きる可能性があるということになる。