近年の生成AIブームは誰でも「AIが簡単に使いこなせる」点がウリになっている。トランプ大統領もこのトレンドに乗りAIを使いこなしているようだ。民主党攻撃に余念がない。ABCニュースがこのディープフェイク動画について取り上げているので実際にどんな映像なのか調べてみた。
まず驚いたのがこの動画は「トランプ大統領が死神」になっているという点。これについてABCニュースでは触れられていない。
その後に行政管理予算局長のラス・ヴォート氏が登場する。ラス・ヴォート氏は第一期トランプ政権の行政管理予算局に務めた後で大統領権限の大幅拡大について提唱したプロジェクト2025の主要な執筆者だったとされる人物。トランプ大統領は表向きはプロジェクト2025と距離をおいていたが実行できる機会を狙っていたようだ。
もう一つの動画は民主党指導者であるハキーム・ジェフリーズ氏を揶揄する動画。トランプ大統領はMAGAの支持者たちが潜在的に持っている差別意識を利用し民主党をメキシコと同一視するイメージ戦略を実施している。
この動画ではカバーに使われているが実際にはジョンソン議長の弁明について扱われている。トランプ大統領は「みんなの期待に応えて」動画を投稿しているだけであって政府閉鎖は悲惨な結果を招くとしている。
トランプ大統領は明らかに今回の予算対立を「民主党潰し」の材料と考えておりそのためには人種差別的なメッセージングも厭わない。そしてそれを喜ぶ大勢の支持者たちがいる。
連邦政府閉鎖は国民生活に大きな影響を与えかねない。民主党も共和党もそれがわかっているからこそお互いを非難し合っているわけだ。しかしトランプ大統領はどうやらこの状況を愉快犯的に楽しんでいるようだ。
また最初の動画も「トランプ大統領=死神」なのだから、トランプ反対派が揶揄するために流しても良さそうな内容だ。しかしABCニュースはその一部をTruth Socialのトランプ大統領のアカウントから持ってきている。
さらにトランプ大統領は次の給与小切手を受け取れないかもしれない人たちに対して「皆さんがリストラされるのは民主党のせいですよ」と宣伝するメールを送り付けているそうである。
今回の連邦政府閉鎖のニュースは日本でも伝えられているが「国立公園が閉鎖され観光に影響が出ている」とか横須賀の花火大会が突然中止になって残念だなどのニュースに留まっている。
だが実際には日本の国防にとっても「アメリカの軍人・軍属が無給になる」というレベルのインパクトを持っている上に、合衆国では常識では考えられないような大統領による悪趣味な政敵批判が続いている。
