9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


今回は左派攻撃はなし モルモン教会襲撃事件で

4〜7分

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日本では「モルモン教」として知られる末日聖徒イエス・キリスト教会の教会で銃撃事件が起き4人が亡くなり教会が燃え落ちた。こうした事件が起きると「左派がアメリカを攻撃する」と政権が喧伝するのがお約束になっているのだが、今回はそれがなかった。イラクに従軍経験もある海兵隊退役軍人の犯行と見られているからだ。当局はテロと言わずact of targeted violence(的を絞った暴力)と表現している。

この件について「ダブルスタンダードだ」と反論する気にはなれない。犯行直後からXでは「MAGAは今回の容疑者の素性について何も言わないのか!」という批判が飛び交っていた。

今回の事件は日本でも大きく報道されているが、最初に気になったのは容疑者の素性だった。「左派的な」要因があれば政権が叩くだろうという予想は容易に立つ。また容疑者の素性を知ることで事件を知った気になれるという思い込みにも支配されているのだなあと気付かされる。

容疑者の名前「トーマス・ジェイコブ・サンフォード」は早くから発表されていた。

  • 海兵隊に4年ほど所属し、イラク従軍経験がある
  • 政党登録は確認されていないものの、SNSにトランプ氏の選挙キャンペーンTシャツを着ていた写真が掲載されている
  • 先天的にインスリンを過剰産出する病気を持っているお子さんを抱えている

ことだけがわかっている。動機については解明が進んでいない。

このためXでは「MAGAは今回の容疑者のプロファイルは黙殺するのか!」というコメントが溢れていた。アメリカ人という塊は存在せず「民主党か共和党か」という敵味方思想が蔓延していることがわかる。

トランプ大統領はおそらく政治宣伝に利用できない凶悪事件には興味がない。キリスト教徒に対する新しい攻撃だとの認識を示したそうだが、それ以上の主張は見られなかったようだ。

アメリカ合衆国は「公助・共助」の枠組みが崩壊しつつあると仮説できる。

  • 公的なセーフティネットが「社会主義的」と批判され
  • 個人主義的で家族もセーフティネットとして機能せず
  • 社会の分断が進みコミュニティに頼れなくなっている

一方で主張を通すためには積極的な行動が求められ、なおかつ銃火器が豊富に存在するという事情がある。つまり跡がなくなった無敵の人が周りを巻き添えにして亡くなるという事件が頻発しても何ら不思議ではないのだ。

このため、おそらくは今後もこうした銃弾犯罪はなくならないだろう。なおこの事件とは関係はないだろうがこの日にはノースカロライナでも元海兵隊員絡みの事件が起きていたそうだ。