9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


懸念される「自民党を取り戻せ!」運動

6〜10分

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各種情勢調査によると議員票では小泉進次郎氏が首位を独走している。一方ネットでは高市早苗氏を推す声も大きい。ついに党員党友票では高市早苗氏が首位に立ったという報道もある。このまま小泉進次郎氏が逃げ切ると「高市早苗氏こそが本来の自民党である」として「自民党を取り戻せ運動」が起こりかねない状況だ。

アメリカ合衆国でも起きている動きだが「何から何を取り戻す」のかが曖昧なためそのまま自民党を破壊する可能性が高い。日本の場合野党とも連動しているためおそらく政界全体に少なくない影響を及ぼすだろう。

マスコミの自覚なき「自作自演」により小泉進次郎総理大臣誕生の可能性が高まっている。中盤の情勢調査を選挙ドットコムの編集長がまとめておりそれなりに信憑性がある。なお自民党総裁が自動的に総理大臣になるわけではないので見出しは「総裁誕生」になっている。また、日本テレビの党員・党友調査で情勢が入れ替わったことと文春の「牧島かれん問題」は織り込まれていない。

この流れはメディアとネットの特性により軋轢を生む可能性が高い。エコーチェンバーに囲まれた人たちにとっては「事実と異なる」結果になるからである。

  • 既存政治は事実の積み重ねからストーリーを作る
  • ネットはその逆で心情をもとに事実を選択しストーリーを作る

日本人は「内と外」を明確に分ける傾向がある。政治課題は多くの人にとってタニンゴトだ。人々が見出しのみに着目し詳細に調べようとしないのは「所詮タニンゴトだからだろう。

しかしながら他人はほぼ無害である。実際の政治状況には影響をたいした及ぼさない。

ほぼ無害と書いたが毒はすでに日本社会を蝕みつつある。そもそも国家が成長するためには一人ひとりの頑張りが必要。タニンゴト社会では誰も国家成長のために貢献しようとは思わない。これが「毒性」の第一段階だ。

ところがさらに症状が進むと明確な勝者がいなくなる。立憲民主党は給付付き税額控除を推進しているが「制度ができるまで4万円を一律給付しよう」と言い出した。しかし2万円給付を批判していたため党内でも異論が出ているそうだ。

維新も本音では連立政権に入りたいが世論動向を読めずにいる。菅義偉元総理と接触しているが党内には異論もある。

各党ともメッセージを明確にして自分の政党への支持を固めたいが「無関心化」した人々を引き付けることはできない。結果が出たら教えてくれ、嫌なことがあればキャンセル運動を起こすからという非協力型の人が多いのではないか。

この無関心層はなにかのきっかけに強い毒性を発揮することがある。そもそもエコーチェンバーで「事実」を形成している人たちは「本来は高市早苗氏が総理大臣になるはずだったのに何者かが邪魔した」と考えるかもしれない。

今回、仕込みの女王こと牧島かれん氏がしでかしたことはその意味では非常に大きい。冷静かつ客観的に見えれば大した話ではないが、つねに証拠を探している人々には重大な問題に見えることだろう。

政治参加が盛んなアメリカ合衆国ではこれがメインストリーム化してトランプ大統領の登場につながった。しかしながらおそらく高齢化が進む日本の政治が今すぐ「日本を取り戻せ運動」の乗っ取られることはないだろう。

しかしながら「一旦目覚めてしまった部外者」は「乗っ取られた自民党」を取り戻すべく「アンチ化」する可能性がある。党員・党友票で高市氏支持が広がれば「もう少しで勝てる」という意識が芽生え「自民党を取り戻せ」運動に勢いがつくのではないか。

おそらくほぼ無毒強い毒に変えるために必要なのは成功体験である。成功に近ければ近いほど運動は盛り上がるのだ。