APECの会議を控えて米韓関係が緊張している。きっかけはラトニック商務長官の不用意な働きかけだった。ところが韓国では対米感情が悪化しておりこれが思わぬ形で韓国政府の意思決定に変化をもたらしている。トランプ大統領は在韓米軍の所有権を要求しており、この余波で日本にも過大な要求を突きつけかねない展開になりそうだ。
テキストは確認できないが、チャーリー・カーク氏の「追悼演説」でトランプ大統領は確か「500人の韓国の犯罪者」と言っていた。トランプ大統領は何にでも首を突っ込むが細かいことはよく覚えていないようである。だがやられたほうは忘れていない。
韓国では自分たちの同胞が手錠をかけられて犯罪者のように扱われたと反発が高まっているようだ。
ここでラトニック商務長官が「もう少し韓国にふっかけることができるのではないか」と欲を出したようである。APEC首脳会談を前に成果を出してトランプ大統領に褒められたいと考えても不思議ではない。共同通信がウォールストリート・ジャーナルを引用して「投資のわずかな増額を持ちかけた」としている。
そもそも韓国には親米・親中の路線対立があるうえに同胞が犯罪者扱いされたことに対する反発も強まっている。その上で投資の増額要求も加わったことで韓国の態度が硬化した。関税合意が保留になったそうだ。
今回の「犯罪者」の中には日本人が3名含まれているが日本はこの現実を直視せず、トランプ大統領の機嫌を取りつつ退任を待つという「先延ばし」戦略を取っている。
一方で民情が政治に優先する韓国では庶民レベルの反発が強まり米韓関係は悪化するかもしれない。
トランプ大統領はとにかく自分に逆らうものが嫌い。韓国政府がノーを突きつけようものなら躍起になって自分の正しさを証明しようとする可能性がある。特に気がかりなのがトランプ大統領が掲げる在韓米軍基地の所有権移転問題だ。韓国人のすべての男性には兵役義務があり「国をあげて国土を守っている」という自負がある。にも関わらずトランプ大統領はその大切な「我々の国=ウリナラ」の一部をアメリカに譲り渡せと言っているわけである。
このまま韓国とアメリカの対立が収まってくれればいいのだが、一旦火が付くと収まりがつかないのがトランプ大統領。すると今度は周辺の国に圧力をかける可能性がある。例えば「日本は具体的な投資を約束した」などと証明しようとする可能性がある。
具体的には防衛費の応分負担を求めるものと考えられており、新総裁(新総理になる可能性が高い)の最初の仕事は防衛増税を国民に納得させることになるのかもしれない。
石破政権は自民党があってこその日米同盟だと言いたいのかもしれないが、実際にはかなり面倒な展開も予想される。
