これまで真相がわからなかった安倍派の裏金再開の真相が明らかになった。「指示」したのは下村博文氏。しかしながら会議で決めたわけではなくなし崩し的に再開したのがいかにも日本的。下村博文氏は関与を否定している。心情的には決めたわけではなく「いつの間にかそうなっていた」のだろう。これが自民党全体に広がり「いつのまにか少数与党に転落」したことになる。
日本史はあまり得意ではなかったためどうしても雑な分析になってしまうのだが、日本史には一つのパターンがある。中国の目を意識して中央が国家を統制する仕組みを作る。しかし当事者たちは決まりを守るつもりなどない。やがて天皇だけが土地を所有するという仕組みには数々の例外が儲けられ、結果的に国中に荘園が蔓延した。
安倍派の裏金再開もこんな感じで再開されたようだ。きっかけは池田佳隆議員(当時)に対する例外処理だったようだ。安倍晋三氏がどうして了承したのかはわからないが「1人くらいだったら」という感じだったのかもしれない。
松本氏は大野被告の弁護人から「返金を再開することを安倍さんが了承していたと言い始めたのは下村さんですね」と尋ねられ、「そうですね」と述べた。さらに「下村さんが、池田(佳隆)議員に返金してやってくれ、安倍さんが了承しているという趣旨のことを述べた」との問いに「はい」と答えた。
還流再開要望は下村氏 旧安倍派の元会計責任者が証言―大野元参院議員公判・東京地裁(時事通信)
下村博文氏は「決定する権限はない」と言っている。この認識は間違いではないのだろう。
話を総合すると、誰も決定した人はおらず「例外」がそのままなし崩し的に広がり誰も責任を取らなかったことになる。
ただしその被害は甚大だった。まず安倍派が凋落し、続いて麻生派を除く全ての派閥が解体した。それでも自己総括が進まなかったことで自民党は衆参両院で過半数を失っている。
一つの例外がなし崩し的に全体を崩壊に追いやったことになる。いかにもリーダー不在の自民党らしい崩壊だが、総裁候補者たちは裏金に関与した議員も要職に復帰してもいいのではないかと考えている。
