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西側先進国がパレスチナを国家承認

6〜9分

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アングロサクソンの各国とフランスの働きかけを受けた国がこぞってパレスチナ自治政府を国家承認した。カナダの首相はイスラエルとアメリカが抵抗しているとわざわざ示している。岩屋外務大臣は「承認することは間違いないが今はその時期ではない」と釈明した。心理的・軍事的にアメリカ合衆国に依存する日本が独自外交など展開できるはずはない。総裁選の「世界の中心で輝く国日本」というスローガンが虚しく響く。

アングロサクソン各国とフランスの働きかけを受けた国がこぞってパレスチナを国家承認した。善意のジェスチャーと好意的に解釈することはできるが、人道犯罪に手を染めたイスラエルを支援してきたことに罪悪感を感じているのではないかとも感じる。

カーニー首相は「イスラエルとアメリカが抵抗している」と国連総会で主張したようだが、これも「悪いのは自分たちではない」と言いたいだけなのかもしれない。

フランスにはまた別の動機がある。国内に深刻な分断を抱えており、なおかつ国際的な地位(特に対アフリカ)が低下している。そんな中「フランスは大国である」という意識を捨てられない人も多い。今回フランスはサウジアラビアといっしょに国際会議を主催しており、イスラエル問題で国際的な指導力を発揮したいという狙いがある。

こうした事情があるとはいえ、今の悲惨な状況に対して何もしないというわけには行かない。そんな中で日本の対応はいつもながら情けないものだった。

まずフランスとサウジアラビアが主催した会議にアメリカ、ドイツ、イタリアは参加しなかったそうだ。ここに日本が参加しなかったとは書かれていない。事前に「和平会議そのものに出席しないのではないか」と報道されていていた。

ニューヨークの国連本部ではこの日、フランスとサウジアラビア主催でイスラエルとパレスチナとの「2国家共存」による和平を推進する会議が開かれた。主要7カ国(G7)のうち、ドイツ、イタリア、アメリカは出席しなかった。

フランス、パレスチナ国家を正式承認 「平和のための時が来た」(BBC)

一方でAPはドイツ、イタリア、日本は会議に参加したが承認は見送ったと書いている。さらに共同通信は「国際会議に出席し理解を求めた」と書いている記事もあり「出ることは出た」ようだ。

おそらく国際社会は日本がアメリカ合衆国に心理的・軍事的に依存していることはわかっておりそもそもリーダーシップには期待していない。またイタリアとドイツが追従しなかったことからマクロン大統領のスタンドプレイに対する反発もあるのではないかと思う。

共同通信は「理解を求めた」としているが釈明にならない釈明を述べたと解釈したほうが良さそうだ。単にタイミングが悪いから自主的に考えた結果今回は見送ったと言っている。

その上で「わが国は一貫して『2国家解決』を支持しており、パレスチナの国家承認は『するか否か』ではなく『いつするか』という問題だ。今後の情勢の変化を常に注視しつつ、さらに総合的な検討を進めていく」と述べ、今回のタイミングでは日本政府としてパレスチナの国家承認を見送る方針を表明しました。

「2国家共存」和平推進の会議 パレスチナの国家承認 相次ぐ(NHK)

おそらく国際社会の文脈が読めない中でアメリカとフランス・イギリスの板挟みになっていると勝手に思い込んでいるのだろう。総裁選のテーマは世界の片隅でオロオロする日本に書き換えたほうがいいのではないか。外交的には所詮その程度の立ち位置だ。