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チャーリー・カーク氏の葬儀・追悼式が行われた。トランプ政権はチャーリー・カーク氏を自由の殉教者に位置づけたAGA運動の神格化に利用したかったようだ。しかし、トランプ大統領の演説があまりもひどいものだったためその計画もぶち壊しになった。

これこそがアメリカ合衆国と世界を悲惨な状況から救い出しているのかもしれない。トランプ大統領に人の心を突き動かす才能があればおそらく大惨事になっていたであろう。

チャーリー・カーク氏の未亡人は涙ながらに容疑者を赦すと表明した。トランプ大統領はこれを打ち消す形で「自分はそうは思わない」と主張し感動をぶち壊しにしている。そのうえでいつものように政敵たちを悪しざまに罵り40分にわたり「政治的な」演説を強行した。台本はあったようだが脱線も多かったようだ。

CNNは次のように書いている。実際に演説の一部を聞いたがまさにそんな感じだった。一言で言えばとりとめがない。

トランプ氏の追悼集会での演説は、カーク氏の生涯やMAGA運動への貢献をたたえる内容と、自身の政敵を攻撃するいつもの言説を行き来するものだった。

米保守活動家カーク氏の追悼集会 トランプ氏が左派過激派を批判、妻は容疑者「許す」(CNN)

ただここでふと冷静に「トランプ大統領が厳かな演説が得意な大衆扇動家だったら」と想像してしまった。アドルフ・ヒトラーの例を持ち出すまでもなくアメリカの右派は宗教的・神話的な扇動者に感情的に巻き込まれてしまっていただろう。

トランプ大統領はフランスの軍事パレードに憧れて自分の誕生日に合わせたパレードを開催させた。確かにお金はかかっていたが中央集権国家特有の統制はなくどこか牧歌的な印象さえあった。

今回の追悼式も6万人収容のドームで行われておりメガチャーチ的な集会ではあったものの歴史的に裏打ちされた神話性は欠落している。このためチャーリー・カーク氏を自由の殉教者だと持ち上げて見せてもそれが十分に神格化されることはない。

トランプ政権はFCCの許認可権を使って地上波放送を黙らせようとしている。しかしすでにケーブルテレビとYouTubeなどのストリーミングメディアが一般化しているためおそらくメディアの反発を生むだけで十分な言論統制効果は生まれないものと思われる。

また国防総省に出入りするメディアにも「事前確認」を求める意向。これも言論統制の一環だが、リークが増える背景にはおそらく軍人たちの不満があるものと容易に推察できる。

新たな規則は、報道機関に先週示された取材資格手続きの改訂に含まれ、国防総省のパーネル報道官による通知で明らかになった。同省に関する報道に必要な取材証の取得や保持の条件として、記者が10ページに及ぶ宣誓書への署名を求められる。

米軍巡る報道、事前承認の情報のみ使用を-国防総省が記者に義務付け(Bloomberg)

外国メディアも盛んに「本来統合を目指すべき大統領が進んで分断を煽っている」と書き立てている。

このようにトランプ政権が政権の一体感を演出すればするほど、伝統の裏打ちがないどこか作り物感が強い自己陶酔ばかりが強調され、アメリカのソフトパワーが失われる結果になっている。これはアメリカ合衆国と世界にとって不幸中の幸いなのかもしれない。

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