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国民民主党の唐突な大阪特別自治市案

7〜10分

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国民民主党が唐突に特別自治市案を議論しているという。維新の大阪都構想に対抗しているのだそうだが、なぜ特別自治市が対案になるのかがわからない。調べてみたのだが実にくだらない内輪もめに起因する話のようだ。日本全体が分配する利権が先細り似たようなニッチを持つ2つの政党がまるで限られた水源を争うように縄張り争いをしている。いずれにせよ一般有権者には関係がない話だ。そもそも一般有権者は水が十分に飲めていない。

記事を書いているのは日経新聞だが詳しい内容は読んでいない。日経新聞は「維新の連立入りを阻止する対策だ」としているが、極めて唐突に映る。

最近Yahooニュースは自動で関連ポストを集めて表示する取り組みを行っているようだ。このまとめによると議論の起点は足立康史氏のようである。

当初、足立氏の投稿を読まなかったので次のようなストーリーを考えた。

一部の大阪市民が都構想を支持するのは劣等感ゆえだ。「東京が羨ましい」が「羨ましいと言えない」のだろう。このためどうやったら大阪が東京みたいになれるかを熱心に議論している。

大阪はもともとコメの集積地として栄え、その豊富な資金で繊維や機械工業などの工業集積地になった。しかしながら繊維産業はの中間工程が中国に流れて阪南の繊維産業全体が衰退する。続いて台湾や中国との価格競争に負けた家電産業が衰退してしまう。

大阪を東京並みにしたいのならばまずは産業政策を真剣に議論すべきだが、日本の政治家は産業政策も金融政策も議論できないので「東京みたいな形」に拘るのであろう。

しかし足立さんの投稿を読むとそもそもそれ以前の話だということがわかる。指定都市市長会が大阪府の枠を超えたグレーター関西構想を持っているにも関わらず「悪い維新」が「党利党略のために」に大阪以外の指定市を利権から排除していると読み込める内容になっている。

つまり「良い維新」「悪い維新」とレッテルを整理したうえで、今の維新は悪い維新であり、良い維新は自分が引き継ぎ国民民主党に合流したという議論を展開したうえで指定市の市長たちを味方につけようとしているということだ。

足立康史氏は2022年の代表戦に敗れたことで非主流派化した。政党批判を繰り返したことで党員資格停止処分を受けて政界引退を表明している。その後、国民民主党と接近し比例代表で参議院議員に当選している。

国民民主党の代表戦に敗退した前原誠司氏は維新と接近。維新の国会側の責任者となったが党勢の拡大に失敗し現在の塔運営からは一定の距離を置いている。一方で国民民主党も報復と言わんばかりに足立康史氏を自分の陣営に引きずり込み「良い維新を受け継いでいるのは自分たちだ」という宣伝に利用している。おそらく政党としてのニッチが似ている上に日本全体の分配すべき利益が先細っているからこそ起きている不毛な争いなのだ。

日本の政治風景は水が枯渇しつつある砂漠のような状況になってきた。水を呼び込もうにも雨乞い以外の方法が思いつかないため、結果的に限られた水源と井戸の闘いになる。

なお、維新の吉村洋文代表は連立政権入りの意欲を隠していないが、藤田幹事長は「維新が連立に参加すると政党が消滅する危険がある」とトーンが違う発言をしている。

現在の自民党には国民人気がないが支持者に分配するためには政権与党入りする必要がある。こちらも水瓶の話をしている。国民に十分利益分配ができていないので党利と選挙対策が両立しなくなっているのだろう。そんな中、国民はもう政治には期待しないからとにかく税金を減らせという方向に傾きつつある。

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