バカとアサヒは使いようというフレーズを使いたいがためだけにこの文章を書く。以下書くことには何も確証はない。
朝日新聞が14版にだけに加計学園のスクープを掲載した意味がわからなかった。いったん「不確定な情報」を挙げて、菅官房長官に「誰が書いたのかもわからない」と言わせ、その翌朝に日時と書いた人が特定できる形で詳細を載せた。
どうやら朝日新聞は「他社がこの情報を伝える前に」このニュースを載せたかったのではないかと思った。誰かが朝日新聞に持ち込んだのだろうと思われるわけだが、その誰かは特定されていない。ただ、朝日新聞に伝えれば幾つかのメリットがあることがわかる。
第一のメリットは、乗り遅れることを恐れたマスコミが一斉に騒ぎ出すという点だ。犬に肉を投げてもその場で食べられては騒ぎにならない。が、遠くに投げればみんなが大騒ぎをするわけである。実際にテレビがこぞって騒ぎ出し、これまで盛り上がっていなかった加計学園の件が世間に認知されることになった。一般に広く知れ渡ったかどうかは簡単にわかる。このブログでは加計学園で検索する人が極端に増えた。
もう一つのメリットは、政党とのつながりだ。朝日新聞に伝えればそれが民進党の目にも触れる。今回は民進党が優れた調査能力で資料を入手したという話も出ているが、それが確かかどうかはわからない。民進党はこの文章が本物なのかということを言及しなかった。出元がよくわかっていないのではないだろうか。民進党は「マスコミが伝えているから」という理由で国会で追求し、それを「事実」としてマスコミが報道するという自家発電的な動きが始まる。今回は共謀罪が成立するかしないかという絶妙な時期だったわけで、政権を困らせるにはとてもよいタイミングだったと言える。
後追いの報道によると内閣府は「首相のご意向」を傘にきて他省庁を恫喝していたようである。この場合文部科学省は副大臣まで使って抵抗するのだが、明確な勝者を出すことを嫌う日本の文化ではとても恨まれる行為だったのではないだろうか。文科省は安倍昭恵さんが働きかけをしたということを仄めかしており首相の圧力を感じさせる。
つまり、騒ぎを起こせばマスコミが一斉に走り出すということだ。バカと朝日新聞は使いようなのである。日本人は政治にはさほど興味はないが「みんな知っているのに俺だけが仲間はずれだ」というのを嫌うので、こういうやり方が効果的なのだろう。
誰がリークしたのかはわからないのだが、情報が漏れる通路は幾つかあるようだ。一つ目の通路は官僚経由だ。田崎史郎氏が言っていることから類推すると、官邸は文科省の官僚を疑っているようだ。処分に不服だった人が恨んだということになっている。が、内閣府が横槍を入れたことに正義感から反発した可能性もあるのだろう。今治市では誘致を巡って最終的な判断が迫られており「とても大切」なタイミングにあるということだ。
政治家同士の利権争いを面白おかしく取りざたする人もいる。東洋経済が麻生派と官邸の対立を面白おかしく伝えている。獣医は麻生大臣らの縄張りらしいのだが、これを安倍首相派が切り崩そうとしているという構図があるそうだ。この二つの派閥は福岡の衆議院補欠選挙で争っており関係性はあまりよくなかったと伝えられる。
安倍政権の独断は実は自民党からも嫌われているようだ。現在三方面から包囲されている。
一つは今回利権を巡って対立している麻生副首相系の派閥だ。経済政策に強いと言われる人たちで派閥そのものは池田首相に行き着くそうだが、もともとは吉田茂首相の流れを汲んでいるとのことである。政策通が多いのだが党派対立が苦手なので主流派になれずにいる。
もう一つは「金権」のレッテルを貼られた田中派の流れを組む人たちで、郵政選挙で自民党を出て行った人たちを含んでいる。例えば小沢一郎氏などもこの生き残りだ。石破茂氏や船田元氏のように新進党で小沢氏についていったものの、のちに党に戻った人たちもいるという。一方では「地方もみんなで仲良くやりましょうよ」という穏健で社会主義的な志向もあるように思える。この人たちとは憲法で揉めている。話し合いをして国民の理解を得た上で自衛隊を認めさせようという主張だが、安倍首相がアメリカの反発を恐れて平和憲法を破壊し、憲法改正を2020年までにやるぞと言ってしまったために怒っているのだ。
このほか「アベノミクスを検証しよう」と言い出してている人たちがいる。あまり大きくない派閥だったり、そもそも派閥に属していない議員もいる。最近野田毅氏らの勉強会が立ち上がったばかりである。
安倍氏の一派はもともと福田赳夫首相の流れを汲んでいるのだが「タカ派的な」主張で知られるとのことである。小泉郵政選挙で郵政民営化に反対する人たちを駆逐して新自由主義的な政策を推し進めた。戦後憲法を「GHQの押し付け」として蛇蝎のように嫌っている。最近では、国民に人権があるのはおかしいなどと言い出す人が出てきたが、たいていこの派閥の人たちである。
もともと自民党は、党内の派閥対立や足の引っ張り合いが嫌われて政権を追われた歴史がある。このため表面上は挙党体制を演じてきた。しかし、最近の世論調査などを見ると民進党には支持が戻らないことがわかってしまった。こうなると特に遠慮をする必要はないわけで、適当に都合の悪い情報をリークさせた上で民進党に説明をさせて国会を混乱させるということも可能になる。
そう考えると民進党は単にピエロとして、自民党の派閥抗争に利用されているだけということになる。