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トランプ大統領が国防総省を戦争省に改称

5〜8分

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トランプ大統領が国防総省を戦争省に改称したというニュースがあった。トランプウォッチャーの人々はこのニュースになみなみならぬ興味を持っているようだがさほど面白い話ではない。そもそも大統領に官庁の名前を変える権限がないそうだ。

トランプ大統領が国防総省を戦争省に改称する大統領令に署名した。日本でもよくある復古主義的な動きの一つと捉えられるが、おそらくMAGAのポッドキャストなどを聞かなければそのノスタルジックな響きのニュアンスはわからないように思える。

BBCによればそもそも大統領には官庁の名前を変える権限はないそうで、単に副名称ということになるそうだ。

トランプ大統領はノーベル平和賞は諦めたのかと記者に問われ「自分が望んでいるわけではない」と否定してみせた。本当に諦めて戦争に邁進するのか、あるいは人から推薦されたいだけなのかはよくわからない。

そもそもトランプ大統領の国防と戦争の考え方は曖昧で一貫性がない。陸上戦力の投入には後ろ向きだが、ミサイル防空防衛には誇大な関心を持っている。また宇宙を制するものは次世代を制するというような言い方もしている。誰も見たことがない壮大なビジョンを持つのは好きなのだろうがそれをやり遂げるために努力することはなくすぐに飽きてしまう。

また全体主義に対する強い憧憬もある。軍事パレードに強い執着を持ち自分でもやってみた。これがあまりうまくいかなかったのだろう。一糸乱れぬ党勢を見せた中国の軍事パレードが「印象的だった」との感想を残している。プーチン、金正恩、習近平の歴史的な写真撮影に自分もまじりたいという欲望も隠さなかった。全体主義に強いあこがれを持ちつつ国内でなかなか実現しないというジレンマを抱えている。

陸軍の国内投入に軍が極めて消極的であることは学んでいるためワシントンDCに州兵を投入しこれを民主党が支配する地域に横展開しようとしている。つまり軍の銃口は外から中に向けられるようになった。

敵対勢力に対して「一発ぶっ放したい」という気持ちは強いようだがノーベル平和賞に強いあこがれを持ちなおかつ地上部隊派遣に後ろ向きなMAGAに配慮している。代わりにカリブ海で空爆を行い麻薬密航船(と政権が主張する)船に空爆を行い11名を殺した。一方的にマドゥロ政権が麻薬の密売を主導していると主張している。

さらにイスラエルのガザ市侵攻を正当化し、ヨーロッパに対して「パレスチナ政権を認めればイスラエルの西岸併合を後押しすることになるぞ」と恫喝している。イスラエルが西岸を併合するのはアメリカ合衆国がイスラエルを甘やかしているのが原因ではなくヨーロッパのせいだと言いたいのだろう。

戦争と国防がごっちゃになっているというのはまだマシな方の悪い変化だ。実際には軍事と外交や国内の治安維持と戦争がごちゃごちゃになっている。

ざっと並べると大混乱しているようにしか見えないが、ABCニュースなどを毎日見ているとこれがアメリカ合衆国の新しい日常となっている。だから国防総省のニックネームを戦争省にしたことくらいはなんでもいない変化なのではないかと感じてしまう。