ついに国内の政治記事が成り立たなくなり当ブログは個人的に頭を抱えている。有権者と政局の間の乖離があまりにも深刻なのだ。このエントリーでは有権者側の事情について書く。もともと孤独と将来不安を持ったバベルの塔の住人たちが体制にエンドースしてもらえなくなったことで不安を感じることが増えている。
当ブログもできるだけたくさんの読者を集めたい気持ちがある。しかし継続的に投稿する目的は「合理的に考えることで不安を減らす」ことにある。このため忸怩(じくじ)たる思い出はあるのだが
- いくら読んでも漠然とした不安が解決できないなら政治記事を読むのはお控えなさい
とお伝えしたい。
Xのトレンドを見ている人は「石破退陣デモ」と「神谷代表発言」がトレンド入りしたことをご存知だろう。神谷代表発言は移民に関するもの。ひろゆき氏が広めたことで拡散した。神谷氏はその後発言を修正しているが支持者たちの間に波紋が広がっている、とされる。
もう一つの石破退陣デモは「これほどまでに盛り上がっているデモがマスコミから黙殺されている」などと書き込まれていた。おそらく陰謀論満載のクリップを消化するのに忙しくテレビは見ていないんだと思う。たしかに見出しにはなっていないがきちんと紹介されている。
この内でテレビ朝日は参加者に丁寧に話を聞いている。比較的高齢の参加者が多く口々に「このままでは日本が崩壊する」とか「自民党が崩壊する」などといっている。ただしどのように崩壊するのかの根拠を示していない。おそらくこれは彼らの心象の中では「事実」なのだろう。ただし周囲には理解してもらえていない。
平成期の日本から終身雇用が不確かになってゆく中で一部の雑誌は帰属意識を「国」に求めることが増えていった。これに乗ったのが総理大臣を退任し最終的に下野に追い込まれた安倍晋三氏だった。
二期目の安倍総理のメッセージは単純なものだった。政治的な不振はすべて民主党と左翼が作り出したものであって「皆さんは変わらなくても大丈夫だ」と言い続けていた。
当ブログは安倍総理の単純化された発言に違和感を覚えていた。しかし、今になってみると「この手の人達」を手なづけておくにはそれしかなかったのかもしれない。安倍総理は結局「日本の矛盾が露呈するのを先延ばしにした」総理大臣だった。
Quoraでは様々な政治的な質問が出ているがそもそも政治的リテラシーが不足していて中には疑問文すら組み立てられない人もいる。論理的な文章を組み立てられない人を機能的非識字というがおそらく割合は増えているのではないかと思う。社会に機能的非識字が増えると情報も感情も共有できなくなる。
もちろんそんな専門用語はないが社会がバベル化するのである。バベル化した社会が危機感を共有したのが今の状況なのかもしれない。政治言論はハイコンテクスト過ぎて彼らには伝わらないだろう。
問題の共有も自己主張もできない人たちは心理学の手続き的に自分が気に入らないものをサヨクと位置づけて攻撃する。彼らはなぜかサヨクは攻撃してもいいと考えているようなのだが、そもそも何がサヨクなのかはよくわかっていないようだ。
このように考えるといわゆる保守と呼ばれる人たちは潜在的に常に将来不安にさらされてきたと考えることができる。社会は問題共有ができなくなりバベル化してきたが「体制」が「あなた達は大丈夫なんですよ」と言ってくれたためそれ以上のことを考える必要がなかった。
安倍総理時代にもネトウヨは実は高齢化している等と言われていたが、今回のデモ参加者もかなり高齢になっているようだ。
こうした孤独をつのらせた人たちについて研究している人は居ないのかと考えて調べたところ古谷経衡さんが「シニア右翼 日本の中高年はなぜ右傾化するのか」という本を書いているそうだ。
つまり崩壊しようとしているのは日本ではなくバベル化した社会に住んでいる人々の精神世界である。ただこのバベル化した社会から抜け出すのは簡単だ。単純な合理主義を身につければ良い。

“このままでは日本が潰れてしまう 有権者の間に高まる危機感” への2件のフィードバック
この手の人達に合理主義を身に着けさせるのは性格や価値観を変えろと
要求するぐらい無茶な要求になる様な気が。
実際頭の中がありのままの自分が無条件で全肯定される願望で一杯な人達
ですからね(多数派でない身だと尚更その傾向が強まる印象があります)、
人一倍自分に歩み寄ってもらいたがってるし安部元総理がやってた様な
慰撫が本当によく効く人達でしょうから。
あとは自分が弱者の身に落ちたくないんでしょう、左派の人達は建前を
掲げてくる事が多いですからそれが自分達を無理矢理改宗させようとしてる
&序列を剥奪しようとしてると思い込んでるのかもしれません。もしそう
なったら自分達は虐められる側になってしまうと本気で恐れてるんでしょう。
だから無菌室レベルの絶対的な安全圏を声高に要求するんだと思います。
過去に成功体験がなければそのまま諦めるんでしょうが、一度は権力と一体になったような感覚を得ているわけですもんね……