衆議院選挙に続いて参議院選挙でも少数与党になってしまった自民党の内部分裂がかなり深刻な状況になっているようだ。ついに敗戦総括ができなくなってしまった。
どうやら何がいけなかったのかの議論ではなく誰がいけなかったのかの議論になっているようだ。ディベートの訓練を受けておらず学習する組織としてのマインドセットのないダメな集団が陥りがちのお定まりの混乱と言ってよいだろう。
訓練されたディベートでは人を責めるのではなく課題を分析し問題解決思考を持つべきだと教わる。特に暗い議論になりがちな敗戦分析においては重要な視点。組織全体で問題解決型の思考を持つことを「学習する組織」という。ディベート文化が発達しなかった日本にはこうした基本的な知識さえ身についていない人たちが大勢いる。
当初自民党は石破総理にすべてを押し付けて敗戦総括に代えようとしていた。しかしながらこの方針は高齢者には不評だった。真面目に日々を暮らしてきた高齢者は自民党のいい加減なお金の管理手法にいらだっており石破総理がこれを元通りにしてくれることを期待している。
ここで高齢者と書いたのは現役世代はそもそも自民党に期待しなくなっているとわかってきているからだ。あくまでも真面目にコツコツ働けば成果が得られた人たちが自民党に「まともになってほしい」と考えている。
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世論調査の結果が出揃うと今度は政治とカネの問題や鶴保庸介氏の失言などを盛り込んだ総括が準備される。今回はこの総括案が批判された。曰く「石破総理の責任が盛り込まれていない」のが問題なのだという。
前回の投稿した「私案総括」は分配構造の崩壊により自民党を支えてきた前提条件が崩れてきていることが敗戦の原因であると置いた。これはもはや存在意義がないからいなくなるべきだという意味ではない。あくまでも組織の存続を前提としてどう変わってゆくべきかという議論である。
いずれにせよ敗戦総括は次につながる学習の機会であるべきだが、過去と向き合わない自民党は未来を放棄しようとしている。
合理化・近代化が遅れた自民党が学習する組織に生まれ変わるのは難しいようである。
いつまでも誰のせいで敗戦したのだという議論が続いている。茂木派が会合を開き前倒し総裁選の開催を強く求めている。小林史明環境副大臣は挑発を繰り返す執行部に対して「お望みなら辞めてやる」という趣旨の発言で息巻いている。
一方でとにかく成功した政党を抱き込んで若者を引き入れようという動きも進んでいるようだ。麻生太郎氏が参政党代表と会談し森山幹事長はチーム未来の代表と会談した。とにかく数さえ埋めればなんとかなると考えているようである。
細かなことはここでは書かないが現役世代はすでに背景にあるからくりに気がついており自民党を再び支持することはないだろう。とはいえ彼らが自己洞察を通じて目覚めることはない。ポピュリズムのエサになるだけだ。
