ミネアポリスで子どもたちを殺した銃撃犯の人となりがわかってきた。容疑者は過去に男性の名前を女性の名前に変えているトランスジェンダーだった。子どもたちが殺されたという痛ましい事件だったが、連邦政府がこの問題を「武器化」する可能性がある。問題が解決しないばかりかますます状況を悪化させる可能性がある。
ミネアポリスの銃撃事件の容疑者はYouTubeの映像などを残しており当局は内容解析を進めている。また一部のメディアは削除された映像のアーカイブを保存しているようだ。
報道を見ると暴力を称賛する内容が含まれておりトランプ大統領の殺害を主張している。ただ全体的に内容が混乱しておりまとまりがない印象だ。
容疑者は2002年6月17日生の女性。過去に性的自認に合わせて男性名を女性名に変えている。つまりトランスジェンダーだった。母親はアナンシエーション教会に秘書として勤務していた経験があるそうだ。
容疑者はアイデンティティに混乱がありこれが暴力的な思想に結びついていった可能性がある。アメリカ合衆国は医療制度の充実した国だが高額の医療費を支払える人は少ない。また公衆衛生も日本人が考えるよりも脆弱である。
もともと脆弱だったアメリカの公衆衛生だがこのところ状況が一段と悪化している。政治宣伝の武器として利用され始めているからだ。
ロバート・ケネディJR氏はワクチンに関する陰謀論で知られている。ワクチン行政を所管するCDCに対しても放埒な発言を繰り返している。このためCDCに対する敵意が高まっており警官が殺害される銃撃事件が起きた。
銃撃事件の容疑者はワクチンのせいで自分が自殺願望を持つようになり鬱病に陥ったと信じておりCDC職員はケネディ長官に発言を控えるようにと抗議文章を送っている。スーザン・モナレズ所長は職員たちの味方をしてケネディ長官と対立していた。
もともとモナレズ所長はケネディ長官の意中の人物ではなかった。意中の人物は自閉症とワクチンの関係について言及した過去があり議会承認を得られなかったのだ。
結果的にモナレズ所長はXの投稿で一方的に解雇されている。所長は解雇通知は受け取っていないとしているが不安を感じた幹部たちは「もはや科学的な公衆衛生政策は維持できない」として一斉に辞任してしまった。
トランプ大統領がでたらめな公衆衛生行政を放置しているのは陰謀論を通じて「バイデン政権は間違っていた」と証明することができると考えているからだ。
同じように今回の一件もトランプ大統領に対する明確な敵意が示されておりなおかつバイデン政権が支援してきた多様化政策の結果起きた悲劇として政治的宣伝に使うことができる。
Newsweekは銃撃事件の多くはシスジェンダー(いわゆる「普通」の性的自認を持つ男性)によって起こされているにも関わらずトランスジェンダーのときだけ問題視されると指摘している。
しかしながらレビット報道官は今回の事件を「混乱したトランスジェンダーが無垢な子どもたちを狙った事件である」と説明し容疑者の悪魔化に余念がない。アメリカでは自分をかばってくれたお友達が撃たれてしまったと涙ながらに語る少年の映像などが盛んに流れている。「普通の良識ある人びと」の敵意は「混乱した異分子」に向かうだろう。彼らはなんの援助も得られないばかりか社会的に孤立する可能性が高い。
トランスジェンダーのみならずアイデンティティの危機を抱える若者の一部はネットの過激な言動(一部は政権によって支援されている)に触れるだけでなくその気になれば何人も殺すことができる武器を簡単に手に入れることができる。彼らのプロファイルを追っていると共通点がある。怒りを社会と共有できないままでネットの過激な情報に触れて思想を先鋭化させてゆくのだ。
政権の自己正当化の影で拡大自殺願望をもった若者が「行動¥しやすい環境が整えられてゆくのである。これらは人為的に作られた問題で本来ならば防ぐことができたはずの事件だった。

“ミネアポリスで子どもたちを殺したのはトランスジェンダーだった” への2件のフィードバック
LGBTQは、その人間を表す属性の一つに過ぎないわけですが、こういう事件があると過剰に取り上げられることは世界中で見られますね。
日本でも、同性相手に対する性加害があると、「LGBTQだから無罪なんだろ」というような揶揄をする人たちがいます。もちろん、同性であっても同意のない性行為はレイプだし、未成年が相手の場合に適応される法律は異性のものと変わらないことは明らかです。分かって言っていると思うので、これは明らかに悪意のある発言なんだなと思い、やはりシスジェンダーと比べて辛い立場なのが感じられました。
加えて、アメリカの政府がそれを作っているというやるせなさがありますよね。