フランスでは現役層の不満が爆発し結果的に極右が台頭しマクロン大統領が率いる政党が大敗した。そんなフランスだが財政健全化を諦めきれておらず結果的にまた内閣が崩壊しようとしている。極右も左翼も内閣打倒には協力するがその後共同で政権を作ることはない。結果的にフランス政界は混乱し国債の価格が下がり続けている。日本の投資家の中には妥協が成立することを期待してい逆張りを試みる人達もいるようだ。TACOトレードを連想しているのかもしれない。
フランスの今日は同じく毀損政党への不振が高まる日本の明日なのかもしれない。政治的リテラシー獲得なしに目覚めた人々が解決可能な政治体制を作ることなどありえないのだ。
2024年1月の選挙直前に高齢のボルヌ氏から若くて同性愛者のアタル氏に首相を交代させた。しかし表紙を変えただけでは有権者を納得させることはできず2024年7月の下院(国民議会)選挙で与党が敗北し内閣総辞職した。
国民議会選挙では極右国民連合が大勝するかに見えたが巧みな選挙戦術で左派が大勝した。首相就任が確実視されていたバルデラ氏が首相になることはなく数ヶ月首相が決まらなかった。
水と油の極右と左翼が協力することはなく2024年9月にミシェル・バルニエ氏が新首相に任命された。左派は「選挙で勝った自分たちが首相を出すべきだ」と激しく反発。
バルニエ内閣は予算案をめぐる対立で信任を失い同年12月に内閣不信任案が可決され総辞職している。不信任可決は62年ぶりだったそうでバルニエ内閣は3ヶ月しかもたなかった。
その後にできたのがバイル内閣だった。バイル内閣が信任投票を行っても勝てる見込みはないため政治的自殺のように思える。しかし、おそらく極右と左翼が協力して次の内閣を作る見込みはない。12月の予算成立に向けた政治的な賭けなのかもしれない。
これを受けてフランスの株式は続落し国債の売りも加速しているという。ただし日本の投資家の中には政治的妥協が成立することを見越して国債の買いの機会だと捉える人がいるとのことである。トランプ政権のTACOトレードを思わせる逆張りである。
フランスは日本と同じ中央集権の強い国である。政治的にもエリート意識が強い。しかしながらこうした国家システムそのものが信頼されなくなってきている。とはいえ国家氏システムから離反した(おそらくは政治的リテラシーの低い)人たちは「反既得権」というだけでどこか一つの政党を支援することはない。結果的に多頭・多党状態に陥り政治的な混乱が生まれている。
