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クシュナー大使がフランス政府からの呼び出しを喰らう

5〜8分

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在仏アメリカ大使のチャールズ・クシュナー氏がフランス政府からの呼び出しを喰らった。ニュースでは「召喚」などと表現されている。クシュナー大使はウォール・ストリート・ジャーナルにフランス政府に対する注文を寄稿しておりこれが内政干渉だと批判されたのだ。クシュナー氏の経歴を見てもなぜフランス大使に任命されたのかが良くわからない。トランプ大統領の人事権の私物化と同盟国に対する関心の薄さを象徴しているようにしか見えないのだ。

チャールズ・クシュナー氏はトランプ大統領の娘であるイヴァンカさんの娘婿であるジャレッド・クシュナーさんの父親。イヴァンカさんはジャレッド・クシュナー氏と結婚した時にユダヤ教に改宗しているのでクシュナー家はユダヤ教だということがわかる。Wikipediaによるとポーランド系で親族の中にはアウシュビッツで亡くなった人もいるそうだ。

そんなチャールズ・クシュナー氏がフランス政府はもっと徹底的に反ユダヤ主義の法律を厳しく施行すべきだと注文をつけた。なお欧米メディアではクシュナー氏がユダヤ系だからとは書いていない。おそらく政治的には属性と政治指向を結びつけることはタブーなのだろう。

ABCニュースに主張の内容が書かれているがフランス政府に命令したような表現になっている。内政干渉どころか宗主国が外交命令を出しているようにさえみえる。

Kushner urges Macron “to act decisively: enforce hate-crime laws without exception, ensure the safety of Jewish schools, synagogues and businesses … and abandon steps that give legitimacy to Hamas and its allies.”

France summons US ambassador over ‘unacceptable’ letter about antisemitism(ABC News)

クシュナー氏はもともと不動産でデベロッパーで脱税などの罪で有罪判決を受けて服役している。2020年にトランプ大統領から恩赦を受けておりその後名誉あるフランス大使の地位を獲得した。

つまりもともとクシュナー氏は外交官ではなく外交儀礼を知らず大使がどんな仕事なのかは理解してなかった可能性がある。そればかりか悪いことをしてもトランプ大統領とつながっていれば自分は何をしてもいいのだと考えていた可能性も否定できない。何よりもトランプ大統領がフランスとの外交関係をそれほど重要視していないことがわかる。

なおアメリカ政府はクシュナー氏を擁護している。ユダヤ系の寄付を集めるためにはクシュナー氏を批判できないという気持ちがあるのかもしれない。クシュナー発言は「我々(アメリカ合衆国)の国益に沿った主張」としている。同盟国フランスとの関係など国益ではないと考えているか、アメリカの国益=トランプ大統領の選挙キャンペーンということなのだろう。

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