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トランプ大統領がABCとNBCの免許剥奪を示唆

5〜7分

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すべての政治的問題を共和党と民主党の対立で捉える傾向があるトランプ大統領。今度はABCとNBCに対して免許剥奪を示唆するコメントを出した。ジャーナリズムが政権を批判するのは当たり前だがトランプ氏に言わせればこれらはすべて民主党の差し金であり「政治機関」だから免許を取り上げて当然なのだという。

トランプ大統領がABCとNBCの放送免許を取り上げるべきだと主張した。政府に批判的なのは民主党の差し金だとしたうえで民主党の政治機関に放送事業者としての資格はないとしている。

李在明大統領との面会からもわかるように、トランプ氏は自分を礼賛する人間と批判する人間をはっきりと分ける傾向がある。李在明大統領はトランプ大統領に最大の賛辞を送ることで対立を避けた。

このトランプ大統領の心理的危機の背景に何があるのかはよくわからない。あるいは幼少期の強烈な体験が影響を与えているのかもしれない。その意味では同情に値するがアメリカ合衆国の民主主義を考えると「お可哀想に」とばかりは言っていられない。

トランプ大統領は労働統計の季節補正を理由に統計の責任者を解任している。さらに今回は「イランの核施設攻撃は成功しなかった」とする初期リポート(内部リポートだったが何故か漏洩した)を書いた情報局のトップを解任した。BBCによるとこのときにもメディアを批判していたようだ。

トランプ氏は当時、自分のソーシャルメディアで、報道内容を激しく批判。「フェイクニュースのCNNは、落ち目のニューヨーク・タイムズと手を組み、歴史上最も成功した軍事攻撃のひとつをおとしめようとした。イランの核施設は完全に破壊された! タイムズもCNNも国民からたたかれている!」とすべて大文字で主張していた。

米トランプ政権、国防情報局トップ解任 数カ月前に「イラン核施設攻撃の影響は限定的」との評価流出(BBC)

トランプ大統領にとって失敗を認めることは文字通り人格崩壊の危機なのだろう。常にメディアをチェックしては(批判的なメディアを細かく見ていちいち腹を立てていることがわかる)SNSで大文字投稿を繰り返している。

このため政府統計は信頼できなくなっており投資家たちは民間経済指標を見て背政府統計を補正しているそうだ。

アメリカの株価が「サームルール」をきっかけに下落した局面があった。日本では日銀の利上げが重なったこともあり日経平均が大幅下落したのは記憶に新しいところ。

トランプ大統領の機嫌を取るために正直な統計や分析が出なくなると結果的に慎重なメッセージングを通じてショックを和らげるという手法が取れなくなる。結果的に政治や金融の安定が失われるのだが基軸通貨国アメリカ合衆国でおきた地震は日本にも大きな津波を引き起こす可能性がある。