超正統派が政権を離脱し少数与党に陥落したネタニヤフ首相。右派(極右といったほうが正確なのだろうが)を取り込むためには彼らのアジェンダに従うしかない。
ハマスが人質の部分解放に傾く中でガザ市に侵攻を始めた。そのうえで和平交渉にノート言っているわけではないとしている。ABCニュースはトランプ大統領の「ネタニヤフ首相は戦争の英雄」という発言とイスラエル市民の反対を対比させてこの問題を報じている。
CNNによるとイスラエル軍部は「準備期間が短い」として今回の作戦に反対しているそうだ。また各国政府や国連もイスラエル政府の攻撃を非難しておりイスラエル政府と外交的な対立が深まっている。イスラエル国内外でもデモがありネタニヤフ首相の強硬な姿勢に反対するものは多い。
それでもネタニヤフ首相が作戦をやめられないのは右派の離脱を防ぎたいからだ。右派は東エルサレムと残りの西岸地区を分離する入植計画をスタートさせた。またガザ北部(ガザ市付近)にも入植の希望を持っているとされる。
この軍事作戦はハマスの引き伸ばし交渉の否定という側面がある。ハマスは人質の部分解放を提案していたがイスラエルは回答を控えていた。ガザ市を攻撃した後で「交渉に応じましょう」と言っている。
各国がネタニヤフ首相を批判する中でトランプ大統領だけはネタニヤフ首相を称賛し続けている。ネタニヤフ首相は戦争の英雄で自分もそうなると主張しているそうだ。ABCニュースはイスラエル市民の反発とトランプ大統領のネタニヤフ首相擁護を対比させて報じていた。
ヨーロッパにとっては悪夢の展開だ。
歴史的に「固有の領土」という概念を持たないヨーロッパでは一旦「力による現状変更」と「民族浄化」が始まるとおそらく大混乱に陥るだろう。最大の同盟国であるアメリカ合衆国はヨーロッパへの共感を失っているがそれでも安全保障を確保するためには今アメリカ合衆国に離脱してもらっては困る。
例えて言えば中国が台湾に侵攻する中でアメリカ合衆国がそれを問題視しないという状況に似ているが、おそらく今これを読んでいる人も含めて「ウクライナやイスラエルの問題は対岸の火事」と考えているのではないかと思う。またそもそも有権者の声すら届いていない自民党の幹部たちが「対岸の火事」にどれほど興味を持っているのかと考えるとなにか恐ろしい気分になる。
