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石破おろし氏名公表は「事実上の踏み絵」

6〜9分

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先日、前倒し総裁選挙に賛成する人の氏名を公表するというニュースをお伝えした。案の定TBSが「事実上の踏み絵」と面白おかしく記事にしている。おそらく自民党の中の人達は自分たちがどう見られているのかが見えていないのだろう。

我々の声はなぜ自民党に届かないのか。2つの要因が考えられる。

一つは高齢化によって起きるメタ認知能力の低下。訓練による個人差が大きいとされるが同質社会で過ごしてきた人たちほど自分の社会的立ち位置が見えなくなる傾向が強い。中高年から高齢に差し掛かる人は「明日は我が身」として特に注意したほうがいい。意識すれば老化は遅らせることができるのだそうだ。

もう一つは「自分は悪くない」という自己正当化。特に安倍派の中にはそう考える人が多いような印象がある。現在安倍派の人たちは石破倒閣に向けて動いているが高齢な人はすでにいなくなっている。

「アベノミクスは悪くなかった」と考える人達は日本がデフレを脱却し正常な状態(マイルドなインフレ)に移っていると認められない。そもそも石破総理はアベノミクスに否定的だったと見られているため事態はさらに複雑なものになっている。

そんな中で逢沢選挙管理委員長は「総裁選前倒しに連座したものの名前を公表する」と主張し話題になっている。

TBSの報道の通り、世間は事実上の踏み絵・石破総理擁護と理解したようだ。しかし、実際に逢沢選挙管理委員長が強い政治的意図を持っていたかはよくわかっていない。単に世論を読めていないだけなのかもしれない。

TBSの報道によると「前倒しに賛成するなら、党や政府の役職を去ってから署名してもらう方がいい」と言っている人もいるそうだ。倒幕に参加するなら賊軍覚悟でということなのだろうが、単なる組織内論理であって有権者にはなんの関係もない。

もちろん、政治家の中にはメタ認知能力に優れた人達もいる。吉村大阪府知事・小泉農水大臣が万博で「蜜月ぶり」をアピールしたそうだ。吉村大阪府知事は自身でYouTubeチャンネルを運営しており、小泉農水大臣も「総裁選前倒しに対する世間の評価は冷淡だ」と主張している。

少なくとも有権者の顔が見えている人たちが次世代のリーダーになるのは悪いことではない気がする。ただ、彼らの後ろにはおそらく長老と呼ばれる人たちの思惑があると考えると複雑な気持ちになる。実質的になにかが変わったという実感が得られるか、あるいは「表紙が爽やかになっただけで中身はさほど変わらなかった」ということになるのかは未知数。

そんな自民党は選挙総括が出せないでいる。石破総理退陣の動きが広がるか広がらないかで政治的な表現が変わってしまうからだろう。石破総理が辞任するつもりならすべてを石破総理に背負わせて沈めればいいが続投となるとそうはいかない。森山幹事長は次(維新との連携)を睨みつつ総括を9月初旬に先送りする方向で検討を始めた。

一方で連合は「立憲民主党と国民民主党が政権入りするのは認められない」とする総括を出したそうだ。理由は「どちらかが政権入りすると敵味方に分かれる」というもの。ああそれはそうだなあという気はする。

時事通信の記事は「組織力が活かされた」との総括を伝えているが、そもそも立憲民主党と国民民主党がまとまらないのは連合の組織力だけでは勝てなくなっているからである。彼らのメタ認知能力の衰えは高齢化によるものではなく「自己正当化」が理由なのだろうか。