トランプ大統領がワシントンDCを連邦化したとして話題になっている。ホームレス追放が目的のようである。自分が支配する美しい世界にホームレスがいることが許せなかっただけなのかもしれない。
しかしながら、議会襲撃に軍隊を導入しようと画策したとされるトランプ大統領にとっては特別な意味を持つのではないか。個人的にはそう感じた。
トランプ大統領がワシントンDCを「連邦化」した。ワシントンDCには犯罪が多くホームレスも目立つとして強硬な対策を求めたが民主党が支配するワシントンDC市はこれに応じてこなかった。このため直接治安維持に乗り出すことにしたのだ。
トランプ大統領の狙いは明らかになっておらず主にその手法が批判されている。そもそもワシントンDCの治安がこの1年で悪化したという事実はないそうだが、トランプ大統領は主観から「事実」を組み立てるため統計にはさほど大きな意味はない。
Axiosは法的に問題のある抜け穴だがワシントンDCの治安部隊の規模は比較的小さいためあまり問題にはならないだろうとしている。
確かにトランプ大統領は世界を「自分に属する美しいもの」と「自分に属さない醜いもの」に分ける傾向がある。首都は自分の持ち物として美しいものでなければならないのに目障りなホームレスがいることを疑問視しているだけなのかもしれない。
ただトランプ大統領は自身が選挙で敗北しようとしたときにバイデン大統領の当選認定を排除しようとした経緯がある。結局軍の大規模な動員はなくトランプ大統領に先導された民衆が議会を襲撃している。国防総省の高官の記録は抹消されており(後で検証されると不都合なことがあったことは間違いがないが)何があったのかを事後検証することは難しそうだ。
今回の記事を読んだとき「すぐさまトランプ大統領直轄部隊」として活動できるような下地を作っておくのが狙いなのではないかと思った。しかしワシントンDCの州兵はもともとトランプ大統領の指揮下にあるそうだ。そうすると単に州兵が内国民に向けて銃口を向ける実績を作っている「だけ」ということになる。
当初、トランプ大統領がICEを使い不法移民対策に着手した時、少なくない人が「いずれその銃口はアメリカ市民にも向かうだろう」と考えてきた。しかし既成事実を積み重ねることによって「ホームレス対策は仕方がないのではないか」と考える人が増えているのかもしれない。
こうしてじわじわとアメリカ合衆国は新しいフェイズに入りつつある。アメリカ合衆国という一体的な主体は解体されトランプ大統領の敵と味方に別れつつある。
