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自民党時代の終わり 日本はおそらく今起きていることに対応できないだろう

6〜9分

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本日のテーマはアメリカ覇権時代の終わりである。最初のエントリーで今起きていることを分析し次はなぜトランプ大統領が力による現状変更を許容するのかについて考えた。では日本はどうするべきかを考えるのだが「おそらく今起きていることには対応できないだろう」と思う。であればあれこれ考えるのはすべて無駄である。

自民党の様子がおかしい。当初は石破総理にすべての責任を追わせて沈めるつもりなのだろうと見られていた。いわば鎮めの儀式のために石破総理を差し出すのである。菅元総理は潔く流し雛の役割を引き受けたが石破総理は抵抗し続けている。このため「前倒し総裁選」はなかなか行われない。報道を総合すると幹部たちは時間の引き伸ばしを画策し、後継者候補は水面下で利害調整を始めたようである。おそらく議員たちも「誰につくのが得なのか」と考えを巡らせているに違いない。

そもそも自民党の凋落の原因は何だったのか。それは有権者が自民党は国民ではなく自分たちと支援企業の利権にしか興味・関心がないと感じ始めているからだろう。

我々はアメリカ合衆国の政治を分析した後なので、今回の一連の動きは自由主義体制の恩恵を全体に分配することが難しくなっていることの一つの結果と単純に捉えることができる。分配ができなくなっているのに分配装置だけが残っていることが問題なのだ。

冷静に分析すれば簡単に答えは出てくる。

だがおそらく自民党はこの単純な結論にはたどり着けないだろう。そもそもアベノミクスの総括さえできておらずデフレからインフレに移ったという宣言もできていない。

安倍政権を否定することは「保守に対する裏切り」ということになっている。次の世代が同じ過ちを繰り返さないためにアベノミクスを分析し何が正しくて何が間違っていたのかを学ぶことは重要。また今我々が持っている課題を再度整理するきっかけにもなるだろう。

しかしながら、日本人は「安倍総理を悪く言うのか」「安倍総理を支持してきた人たちを否定するのか」という感情的な議論に終止してしまう。

ナイーブな保守と呼ばれる人たちは自分の感情にも問題にも立ち向かえない。彼らにそのような強さを求めるのは無意味だ。自ら学びを放棄している人たちに次世代の計画など立てられるはずもない。

左派リベラルも惨めな思考停止に陥っており「自分たちの反発が認められなかった」ことが受け入れられていないようだ。

日本の政治言論は歪んだ鏡に映り込んだ歪んだ自己を見ながら感情的ないらだちをつのらせている。

となると日本人は総括ができないと置くしかない。

今、国連体制と米を中心にした自由主義は終りを迎えつつあるようだ。しかし日本人は総括できないのだから実際に崩れた後で指の差し合いによる無意味で終わりのない闘争が始まることになるだろう。総括ができない以上これは避けることができない。その焼け跡の中から「私達は最初からこの戦いには無縁だった」と考える戦後派が出てくるまで問題は解決しないだろう。

その意味では9月にも起こるとされている自民党の総裁選とその後の政権の枠組みの組み直しは「終わりの始まり」程度の意味しかないことになる。政治家たちはまだ分配ができると信じている。

なお自由主義体制が終わったからと言ってすぐさま焼け野原の戦後が訪れるわけではない。アメリカ合衆国の富裕層は資産を蓄えており日本も戦後自由貿易で蓄えてきた資産を持っている。これを減らさない自己防衛的な立ち回りが求められる。トランプ大統領はすでにこれに気がついており日本が出資する80兆円はすべて自分が独占的に使えるとメディアに触れ回っている。