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自民党に総裁リコールの規定はあるのかないのか

8〜12分

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現在のSNS型政治で成功するためには、短い言葉で端的かつ即時にメッセージ伝えることが重要だ。140文字程度で伝わらないメッセージは飽きられ捨てられる。

アメリカ合衆国でも大統領令の内容が大統領自身の言葉によってSNSで事前発信されることが増えており日本には即応力が求められる。

自民党はこのSNS型の風土のもとで淘汰されようとしている。今回は自民党の総裁選挙についてしらべてみた。

個人的には全く興味がなかったのだがQuoraのコメント欄を返信しているうちに総裁選をいつやるのか、自民党がどんな心づもりでいるのかを確認しなければならないと気がついた。

新しい総裁が誰になるかによって「連立」の枠組みが大きく変わるからだ。関心を持っている人が多いようだ。調べたところ随分とのんびりしているんだなあと言う印象を持った。

NHKの記事を確認したところ

  • 議員たちの意思をどう確認するかの議論を8月下旬から始める

のだという。

別の記事には「そもそも管理委員会の定員が充足していない」ため管理委員の選定から始めなければならないと書かれている。管理委員は選挙活動には参加できない。

「後退したくないから時間稼ぎをしているのか?」とも思ったが、そもそもそんなに早くは動けないということなのかもしれない。戦争末期に作られた巨大すぎる戦艦のようなものだ。

SNS時代においては政党がどのような方針を持っているかは140字以内で語られなければならない。また投稿はすぐに流れて消えてしまうのだからその場のコメントに素早く対応する即応力も求められる。トランプ大統領もSNSで情報発信をすることが増えており日本側も即応力が求められるようになっている。

しかしながら自民党はイデオロギーに基づかない利益分配型の政党なので「誰の損にもならない」ように慎重にリーダーを選ばなければならない。このためリーダー選びに長い時間がかかる。党内調整に時間がかかり国内外に対するメッセージは希薄化する。

自民党は参議院選挙の総括の中に「SNS発信力強化」を含めるものと考えられるが、おそらくそれは不可能なのだろう。わかりにくいムラの論理を翻訳してもっともらしく伝えることを「発信力強化」と呼んでいるに過ぎず即応力はない。

有権者は政治とカネの問題に飽き飽きしている。スピード感をもって総括できない自民党に苛立っているのだ。

と、調べているうちに不思議なことに気がついた。「総裁リコール」という言葉が盛んに使われているが、これは厳密に言えばフェイクニュースなのだそうだ。そもそも自民党には総裁のリコール規定がないのだという。

初期のニュースではカギ括弧付きの「リコール」規定という言葉が使われていた。ところが逢沢選挙管理委員長は自民党にはリコール規定はないと言っている。

これをきちんと書いている記事を見つけた。意外なことに日刊スポーツだった。

日刊スポーツは次のようにまとめている。

  • 自民党党則の第2章第6条4項に臨時総裁選挙の規定がある
    • 総裁の任期満了前に、党所属の国会議員及び都道府県支部連合会代表各一名の総数の過半数の要求があったときは、総裁が任期中に欠けた場合の総裁を公選する選挙の例により、総裁の選挙を行う
    • いわゆる「総裁リコール規定」と呼ばれる。
  • 超低支持率だった森喜朗氏の自民党総裁交代がなかなか実現しなかった経緯から2002年に党則に加えられた。
  • ただ、実際に適用された例は過去にない。

ということで話を総合すると、自民党執行部は「前倒し総裁選の要求があるか」の確認をダラダラと行うことで時間稼ぎをしほとぼりが覚めるのを待っているのだろうということになる。

その間は事実上の政治空白が生まれる。テレビ朝日の千々岩森生官邸キャップは「あくまでも千々岩論」としながら、石破総理は9月に退任を余儀なくされるだろうと語っている。

現在予算の取りまとめ作業が行われているのだが「どうせすぐに退任するだろう」と思われる政権のもとで官僚たちがどの程度石破総理の重点政策にお付き合いするのかは微妙だ。国民がインフレに苦しむ中で無駄な時間が浪費されている。まさに国難と言ってよいのかもしれない。

また戦後80年談話についても政局を優先し9月2日ごろに発出すればソ連の北方領土侵攻を正当化することになりかねないとの懸念も出ている。アメリカ合衆国がウクライナの頭越しに領土交渉に応じる姿勢を見せている。力による現状変更をアメリカが認めれば北方領土のロシア侵略も正当化されることになるが日本としては身動きが取れない状況になっている。

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