超正統派が連立を離脱したため少数与党になったネタニヤフ政権。議会が再び開くまでの短い期間に思い切った策を見つける必要がある。
そんな中、イスラエルは「右派の要求に従ってガザを完全に占領するのではないか」と言われている。これが実施されればガザの人道犯罪は新しい局面に移行することになるだろう。
イスラエルにも国際的な孤立を心配する人たちが多いようだがネタニヤフ首相の暴走を止めることができてない。最後の手段としてトランプ大統領に「なんとか止めてくれるように」という要望が出ているようだ。
このニュースを熱心に伝えているのはAl JazeeraだがBBCも「ガザの「新たな完全占領」計画、ネタニヤフ氏が閣議で近く提案か イスラエルメディア報道
」という記事を出している。
これらの報道を総合すると軍の幹部はこの無謀な計画に反対しているという。しかしながらネタニヤフ首相はイランに対する攻撃を成功させてアメリカ合衆国を泥沼に引き込むことに成功している。つまり、成功体験を積み重ねている状況。
軍事作戦が実行されれば今生きている人質も帰ってこないのではないかとされている。もちろんガザの人々の生命は保証されない。おそらくイスラエルはますます国際的に孤立することになるだろう。
ネタニヤフ首相はとにかく議会が再開されるまでの間に状況を転換する必要がある。自分を汚職で訴追した検事総長の解任も決めガザでも大きな騒ぎを起こそうとしている。
極右と一緒に政権に立てこもる形のネタニヤフ首相を引きずり下ろすことは難しいようだ。もともとイスラエルは世界に広がるユダヤ人コミュニティの連合で政治的なまとまりに欠ける。イスラエルは「国柄」を決める憲法の起草もできなかった。このためイスラエルの政治家たちはトランプ大統領に書簡を送り「なんとかネタニヤフ首相を説得してくれ」と要請している。BBCにもAl Jazeeraにも同じような記述がある。
連日、トランプ政権は「権威主義的な動きを強めている」という趣旨のことをお伝えしている。しかし、イスラエルの民意はそもそも(もともとは民意で選んだはずの)ネタニヤフ首相を制御できておらず、アメリカの民主主義に希望を求めざるを得ない状況に陥っている。
そんなアメリカ合衆国ではルビオ国務長官がハマスとの和平に関して極めて消極的と言われている。一方でMAGAの中にはイスラエル政府への懐疑論が広まっており、トランプ大統領が最終的にどんな決定を下すのかにも注目が集まる。
決定次第ではヨーロッパ側がパレスチナを国家承認し世界対アメリカ・イスラエルという構造も作られるのかもしれない。
