いよいよ「運命の」8月1日がやってきた。通告がなく通関ソフトウェアの更新も終わっていないそうだ。関税交渉について進捗をまとめる。カナダのパレスチナ承認に反発したトランプ大統領がカナダと関税交渉はできないとSNS辞令を発した。ブラジルに対しては50%の関税を通告しインドに対しても25%の関税を通告している。
主要国ではこれまでにイギリス・日本・EU・韓国との関税交渉がまとまっているとされる。多くに大規模投資計画が付随しているが詳細が全く明らかになっていない。日本のように1-2%の財源しか捻出できていない国もある。赤澤大臣の発言は迷走しており実は合意などないことがうかがえる。また自動車関税に関しても時間稼ぎに徹しており「引き続きお願いする」という対応。
各国の投資計画を見ると「曖昧さ」を担保することによりトランプ大統領の影響力の大きさを誇張して見せることが最大の目的のようである。
対中国関税は延長で決まりそうだがベッセント財務長官がトランプ大統領に説明が必要。トランプ大統領が合意しなければSNSによるサプライズもありそうだ。
インドは25%関税だがロシアから石油を輸入しているため懲罰関税の可能性もある。ブラジルに対してはボルソナロ前大統領をいじめているからという理由で50%関税が課される。
アメリカ・カナダ・メキシコは経済圏としては一体。USMCA準拠品は関税免除となる。しかしながらトランプ大統領は派手なディールがなければ「手打ち」ができないためメキシコの協議は90日延長される。食料などの輸入品の関税が物価に悪い影響を与えるとわかっているのだろう。カナダとも同じようなことをやりたかったんのかもしれないが、カナダがパレスチナ国家を承認するのはけしからんという理由で「交渉は難しくなった」と言っている。
アメリカ合衆国は外交面でも孤立しつつある。国連安保理の常任理事国であるフランスとイギリスがパレスチナ国家承認に傾きつつある。カナダもパレスチナ国家承認を決めた。G7を途中退席しG20首脳会談にも出席しなかったが2026年のG20サミットは議長国なので「トランプ大統領の所有するゴルフコース」で開催するという噂があるそうだ。スコットランドのゴルフコースではEU委員長との会談などが行われているためあながちないとは言えない。
同盟諸国が価値観の上では次第にアメリカ合衆国離れを起こしていることがわかる。
意外なことにMAGAの中にも「イスラエルを無条件に支持すべきではない」という声が出始めているそうだ。飢餓の状況が盛んに報道されるに連れて風向きが変わりつつあるという。トランプ大統領は明らかに外交を私物化してるが、MAGAもまた勘定によって流される傾向にあるとわかる。
トランプ大統領の政策は価値観と思い込みの上に成り立っているため一貫性がない。このためパウエル議長のような敵を設定しつつ「アメリカの国益を勝ち取る戦い」を続けなければならない。ただしこうした戦略もMAGA派の気分と声の大きなインフルエンサーによって左右されるという脆弱性を抱えている。次のターゲットは医薬品である。なぜ医薬品が高止まりしているかという分析はない。単に書簡を送り「60日以内に薬の値段を下げないとどうなるかわかっているな」と恫喝している。
こうした不安定さとはまた別のところでホワイトカラーをAIに置き換える動きも進行している。おそらくトランプ政権はこうした脆弱さには対応できないだろう。
