フランスがパレスチナ国家の承認を決めた。9月に国連で発表しG7では初めてパレスチナを国家として認めることになる。一方イスラエルはガザ地区に「人道都市」の建設を行うのではないかと言われている。人道都市とは収容所をきれいに言い換えたオーウェル的表現だ。背景にはアメリカ合衆国がいる。アメリカはハマスとの和平交渉から撤退した。アメリカ合衆国が自由経済を守る意思がないことが改めて証明された。
日本では余り報道されないと言いたいところだが、テレビ朝日などはよくガザの問題を取り上げている。
人道状況が日に日に悪化しており餓死者が出ている。食べ物がない状態で人々を閉じ込めて餓死させると言う計画だ。ただこれだけでは終わらずガザ地区に人道都市を建設する計画がある。人道都市と言う名前で収容所を作るというのはまさにジョージ・オーウェル的な発想だ。アウシュビツ収容所で苦しんだユダヤ人がこのような発想に至るとはと歴史の皮肉を感じる。
日本とイギリスを含む28カ国は一連の動きに対して連帯してイスラエルを非難している。
フランスのパレスチナ国家承認はフランスが人道保護のために一定のリーダーシップを発揮する動きと捉えられている。なおG7では初の承認となるがスペイン、アイルランド、ノルウェーがすでにパレスチナ国家を認めている。CNNは今回の動きを「国際的なリーダーシップを誇示したいマクロン大統領の賭けなのだろう」と冷ややかに見ている。CNNはおそらく本来はアメリカ合衆国が人道主義の旗手として活動すべきだと考えているのだろうが、トランプ大統領にその意志はない。トランプ大統領は市場から利益を搾り取るばかりで市場の維持には無関心だ。日本人の中にも親米・反米・独立論者など様々な意見はあるだろうが、少なくともアメリカ合衆国が変質しつつあるという現状は踏まえておく必要がある。
今回の動きにイスラエルは猛反発しているそうだ。
アメリカ合衆国のルビオ国務長官は「無謀な決定である」とフランスを非難している。トランプ大統領はおそらく人道問題には全く関心がない。どうせ無駄だ、意味がない、何も変わらないと言っている。トランプ政権はカタールで行われていた和平交渉から撤退する。ノーベル平和賞が取れそうにないからなのかもしれない。
これら一連の動きはアメリカ合衆国が自由主義を擁護すると言う長年のポリシーを事実上放棄したと考えることができる。日米同盟もこの影響を受けて変質してゆくものと考えられるが日本の政治指導者たちはこの変化に対応できていない。関税交渉に付随したファンドなどはこの変質に対応できる戦略的武器にできたが、石破総理には荷が重すぎた。
日本の政治家やマスコミはムラ的な勢力争いに逃げ込み大きな変化から目を逸らし続けている。アメリカ合衆国がパレスチナ国家承認に反対している以上、軍事的にはアメリカに支配されている日本はパレスチナ国家を承認できないだろう。
どうせガザの状況は変わらないと虚無的・冷笑的に見ることもできるが、ヨーロッパの各国がマクロン大統領の働きかけにどのような判断をするかに注目をしたいところである。
