石破総理を巡り不思議な状況が生まれている。自民党からは石破退陣論が盛んに出ているが、本来政権を狙うべき野党党首は退陣には言及しない。左派リベラルに至っては「石破総理は辞めるべきではない」と主張しているそうだ。
自民党では石破総理退陣論が盛り上がりを見せている。青年局が退陣要求を突きつけたが「最後は自分で決めてくれ」と言っている。このためNHKは「事実上の」退任要求としている。一方で両院議員総会の開催を求める署名は1/3を超えたそうだ。石破総理に退陣を求めることができる。だが現在の報道の空気を見る限り「石破総理退陣を求めるか」は微妙な情勢。
両院議員総会を主導したのは麻生・茂木ラインだったようだ。この両者は石破政権では非主流派とされておりすでに両氏が会合を行っている。実務を担ったのは旧茂木派の笹川博義議員だった。
また安倍派もたいそう盛り上がっており世耕弘成議員(すでに自民党を離党している)を含めた安倍派の幹部が一同に集った。様々な会合が行われており、どこかウキウキした状態にさえ見える。
自民党では麻生派を除く派閥が崩壊したため誰について行くとトクなのかを選ぶことができない議員も多いのではないかと思う。つまり倒幕運動に参加してもポジションが得られるかどうかはわからない上に下手したらみんなから恨まれてしまうかもしれないというリスクを背負う。つまり石破総理続投の可能性はそれなりにある。
自民党は戦略的国家運営はできないが、誰を引きずり下ろすのかというようなムラ的運動は大好きなのだろう。
一方で高市早苗総理大臣誕生への警戒心が高まっておりネットで「石破辞めるな」という運動が見られた。ついには官邸前でデモまで行われたようだ。アベ政治を許さない!に生きがいを感じていた人たちにとってもやっと新しく集まる理由が生まれたことになる。
日米同盟は明らかな曲がり角にあり新しい国家運営のあり方について議論を行うべきタイミング。しかし日本人はこの大きすぎる問題を扱いかねており、誰が辞めるとか辞めないとかいった非常に些末でくだらない問題に逃げ込んでいるようにさえ思える。日本人が扱える政治課題はこのあたりが限界なのだろう。
そんな中でひときわ際立つのが野田佳彦立憲民主党代表だ。
非常に難しい関税交渉の最中でありインフレも収まりそうにない。立憲民主党は先の衆議院選挙で政権交代の期待から票を集めたため「政権を狙う立憲民主党」というイメージを降りられないがおそらく野田佳彦氏は総理大臣などやりたくない。玉木雄一郎氏は事前に日本とアメリカの双方の主張を読み予習済みだったが、野田佳彦氏は「出処進退の話は出なかった」と言っており「関税は他人事」というポジションを崩さなかった。
自民党内部からも「いま政権を担当しても財源論を押し付けられて悪者になるだけだから下野すべきではないか」との声が聞かれる。まさにこの与野党無責任状態こそが国難なのかもしれない。
