石破総理は関税交渉を理由に政権居座りを宣言。河野太郎氏もこれに同調し代わりに森山幹事長をクビにすべきだと主張している。しかしこれは無理筋である。関税交渉はすでに詰んでいる。
今朝方はここまで書いたのだが、先程関税交渉がまとまったようなのでその部分を最後に追加した。国益を売り渡さないとしていた分野を解放するという内容で、日本がアメリカに巨額投資を行い90%の利益をアメリカが受け取ると言う約束も含まれているという。
フィリピンとの関税交渉がまとまった。もともと20%関税だったそうだが19%に下がった。フィリピンは原則アメリカの製品には関税をかけない。あからさまな不平等だがアメリカにとってはこれがフェアである。ジャイアンの論理だ。
産経新聞は弱体化した石破政権が関税交渉をやれば妥協を迫られるだろうとしているがそもそも誰が交渉をしても非平等な関税にしかならない可能性が高い。さらに言えばトランプ大統領に日本とのディールを結ぶインセンティブはない。雨だれ式に成果を勝ち取ったと公表できさえすればそれでいいのである。
さらにベッセント財務長官は別の問題を抱えている。パウエル議長には辞める理由はないと擁護している。トランプ政権はFRBに利下げを迫っており根強い更迭論がある。トランプ大統領はベッセント財務長官が自分を説得しようとしたという記事に怒りをつのらせているそうだ。指示を出すのは自分であってベッセント財務長官ではないということだ。
米国議会は2週間の間膠着状態が続いている。エプスタインファイル問題において議会が文書の公開を求めている。トランプ政権はSNSで様々な極論を展開している。しかし「話題をそらそうとしているのだ」と解釈されるようになった。
コカ・コーラに本物の砂糖を入れろと言う記事(無事にアメリカ製のサトウキビを使ったコーラが発売されるそうだが)を最後にトランプ大統領の発言を扱った記事がでなくなった。議会はこのまま定例の夏休みに入り8月いっぱいはお休みになるそうである。ABCニュースは民主党を中心とする超党派がエプスタイン問題を優先したため議会が2週間麻痺していたとしているがAxiosは議会の突き上げを回避するためトランプ政権が議会の早期夏休み入りを主導していると言う書き方になっている。要するに混乱している。
- House paralyzed over Epstein files for 2nd week in a row(ABC News)
- House bails early for its August recess amid Epstein files uproar(Axios)
この間、トランプ大統領はいつにもまして極論を展開し無茶なディールを外国に突きつけなければならなくなる。最も大きな問題はエプスタインファイル問題だが、そもそもこれがどんな事件でなぜアメリカ人が関心を持っているのか日本人にはよくわからないのではないか。そもそも全く報道されていない。
Bloombergは「8月1日までに交渉が成立しなければ、石破総理はさらに大きな批判にさらされることになるだろう」と予想している。交渉を成立させるということは日本に不利な条件を飲むということを意味するので交渉が成立しなくても成立しても「失敗」とみなされるだろう。
逆に日本に有利な条件で妥結したならば「民意から支持されない政権がどんな国益をアメリカに差し出したのだろうか?」との憶測が飛び交うことになりかねない。あとがないトランプ政権はかなり大げさに成果を強調することになるはずだ。
先ほど15%で合意があったとトランプ大統領が発表したそうである。ロイターは巨額投資(5500億ドル=80兆円)の投資があったとしており自動車。トラック・コメ・特定の農産品などの貿易を開放するとしている。これは選挙中石破総理が絶対に明け渡さないと言っていた聖域である。CNBCはその利益の90%をアメリカが受け取るとしている。どの程度の民間投資なのか、また国会審議が必要なものがどの程度あるのかなど一切は不明。そもそも日本がアメリカの自動車にどんな障壁を作っているのかもよくわからないのだから何を開放するのかも不明。
