今日のエントリーは消費税維持にしがみつく自民党執行部と不満を募らせる都市・都市近郊の人々について割り当てた。残る課題は「ではこの先どうなるのだろう」という問題。おそらくラストベルト化が加速するだろうと思われる。こうした中でリベラル系勢力は支持を失ってゆくだろう。
千葉県選挙区では国民民主党と立憲民主党がそれぞれ議席を獲得し自民党から1名落選者が出た。東京に隣接する京葉工業地帯では組合系が強い。組合と言っても郵政・NTTなどの通信系と産業系に分かれている。おそらく前者が長浜博行氏を支持し後者が小林さやか氏を支持したのではないか。しかしながら3位の石井準一氏と4位の中谷めぐ氏の票差はわずか3万票弱だった。さらに自民党からは落選者が出ている。
千葉県にいるとそもそも立憲民主党がリベラル政党だとは感じにくい。むしろ大企業組合に支えられた既得権政党という印象だ。自民党の支持基盤は農家や土木・建設を含む中小企業だったがこれが地盤沈下を起こしている。
ところがアメリカの経済が好調だったために大企業の収益は順調。彼らは生活に余裕があるためまだまだリベラル的政策を受け入れる事ができる隙間がある。
ではこの先も都市近郊を支えていた「リベラル」は持続可能だろうか?
トランプ政権は対日貿易赤字を敵視しており「アメリカにとってフェアな=日本に取って不利な」関税を導入する可能性が高い。特に自動車・鉄鋼・アルミなど日本に取って重要な産業に大きな影響が出る可能性がある。
繊維産業と家電産業が地域を牽引してきた関西圏ではすでに産業の地盤沈下が起きておりこれが維新を支える原動力になった。まず泉州の繊維産業の中間工程が中国に流出。さらに国産家電も競争力を失った。
この維新の支持者たちの一部はすでに参政党に乗り換えつつある。つまり産業構造の変化はそのままポピュリズム型政党の躍進につながりポピュリズムはどんどん過激なものになる傾向がある。
石破政権の赤澤経済再生担当大臣は「粘り強く誠意を見せて交渉する」以上の戦略は持っていない。ついに「選挙結果など交渉には無関係」などと言い出している。彼の唯一の戦略はアポ無しでアメリカに出張してベッセント財務長官との個人的な関係を深めることだが、そもそもベッセント財務長官は関税交渉に興味はなく決裁権もない。
石破政権は関税に対するアイディアを何ら持たないが「国難であるから政権は退かない」と言っている。
となると関税交渉は日本にとって不利なまま進む可能性が高い。するとアメリカ市場から利益を得ていた大企業の収益に影響が出る。まず「戦略なき石破総理で大丈夫なんだろうか?」と考える市場関係者が動揺し、さらに現在リベラルがつなぎとめてきた人々を参政党のような民主主義破壊型の政党に向かわせるだろう。すでに日本には資本主義など無理ゲーだったと考える人々の存在を可視化させている。
これは埼玉・茨城・神奈川の選挙結果を見ても明らかだし、愛知や福岡などにも参政党支持の大きな塊が生まれている。
東京の選挙状況を見ると東京は日本のカリフォルニアにはなれなかったことがわかる。リベラル系市民運動の盛り上がりはおこらずむしろ「石丸旋風」や「参政党の躍進」など不満が可視化される状況が続く。東京までもがアメリカのラストベルトのようになり「日本を取り戻せ!」という運動が起きかねない状況になっている。

Comments
“ラストベルト化する日本と弱体化するリベラル政党” への2件のフィードバック
「身銭を切ってリベラルをする奴はいない」のが辛いところですよね…
彼らの源泉が(資金的、文化的な)余剰の所有なら、その余剰を以って実際に生活を豊かにしなくては大衆の人気を得られない訳なので、国全体の富が目減りする状況で、リベラルが力を保てないのは道理だと思います。そして「俺のところに分配しろ」勢力が伸長する。
自分は知識人側なので「余計な分配運動してる暇あったら勉強してGDPに貢献しろバカ」としか思わないんですが、今振るわない氷河期世代等にそれを求めるのも酷です。少なくとも悪徳宗教みたいな政党には騙されないで欲しいんですけどねー。
いつもご愛読ありがとうございます。知識人でいらっしゃるんですね。教えていただいてありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。