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【国民主権不信任】思ったよりずっと多かった参政党支持者

9〜13分

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今回の選挙には3つの流れがある。これまでの分配構造が崩壊し自民党が地盤沈下を起こした。また公明党と共産党は支持基盤が高齢化している。

しかし、そもそも分配構造から漏れていた人たちがついに目を覚まし一つの塊を形成した。そしてその数は意外と多かったようだ。

都市部複数区で軒並み参政党から当選者が出ており比例でも順調に票を伸ばしている。国民主権では幸せになれないと考える人が増えていることがわかる。日本もアメリカのラストベルトのような状況に陥りつつあり今後その傾向は更に広がるものと考えられる。その後の政治状況がどんなものになるのか。アメリカに住んでいる人のほうが正確に答えられるのかもしれない。

7人が当選する東京選挙区では参政党のさや氏は堂々の2位当選だった。この選挙区では立憲民主党と自民党からそれぞれはじき出された人達がいる。都市部を中心に現在の政治に対する不満が高まっているのだろうと感じた。

しかし複数区を開けてゆくうちに次第にもはやそんな状況ではないと気がついた。福岡・愛知・埼玉でも参政党の当選者が出ている。神奈川県では最後の1議席をめぐり公明党と争っていたが先ほど参政党の当選確実が出た。

2019年の自民党比例区では「ネットを意識した言動」で知られる和田政宗氏が288,080票を獲得していた。開票が73%まで進んだ状況で和田氏の得票数は27,705票と1/10に激減している。91%でようやく40,938票を獲得できている。
かつて安倍晋三氏を支援していた「ネトウヨ」たちが自民党から離反したのは火を見るより明らか。

例えば関東圏では茨城県(2人区)で参政党からも当選者が出ている。また3人区の千葉県でも第4位だった。千葉県では自民党が一人落とし国民民主党と立憲民主党がそれぞれ1名当選している。また1人区の群馬県でも参政党候補者が第2位だった。

都市部で「そもそも分配構造から除外されていた」人たちが参政党に「希望」を見出していることがわかる。

1人区の奈良県では自民党が1位で国民民主党が2位だった。ここは保守分裂で維新の知事が誕生しているのだが維新は議席獲得ができなかった。さらに参政党と維新の票を合わせると自民党の票を超えている。兵庫県は泉房穂氏が1位だったが維新と参政党の支持者を合わせると自民党の候補がはじき出される。大阪もネトウヨ票に期待して青山繁晴氏を府連会長に迎えたが票は伸びなかった。青山繁晴氏は石破総理を批判し府連会長を辞任するとしている。和田政宗氏の惨状を目の当たりにしており「明日は我が身」と言った心境ではないか。大阪では維新が2名で参政党と公明党がそれぞれ1名当選している。つまり維新の牙城だった地域でさえ参政党に流れている人がいるということがわかる。

都市・都市近郊で参政党を支持する人が増えていることがわかる。大阪で参政党が躍進しなかったのはまだ維新に票を入れた人がいるからにすぎない。大阪は早めに自民党を見限り維新に乗り換えたがそのうちの一部が参政党に流れ始めているのだ。

今回の選挙キャンペーンではTBSが参政党たたきを行い却って支援者たちを却って結束させた。知識層は盛んに参政党の政策に一貫性がなく国民主権を破壊する政党だと批判した。

参政党は国民主権を制限する憲法草案を掲げなおかつ「日本人ファーストは選挙向けのキャッチフレーズであり選挙が終わったらおしまいですよ」とうそぶいている。とても信頼できる政党とは言えない。

しかしそもそも現在の社会体制は就職氷河期世代にとっては単なる無理ゲー。彼らは起死回生のチャンスを与えられないままで引退時期を迎えることになり貧困が固定化する可能性がある。つまりそもそも現在の民主主義体制を支持していないと考えたほうがいい。

メディアや知識層の訴えが届かなかったのではない。そもそも反発されているのだ。

一方の参政党は「政治がなんとかするからみなさんは何も心配しないで大丈夫です」と一貫したメッセージを送っていた。排外主義と主権放棄はドイツを破綻に追い込んだ「自由からの逃走」路線だが、おそらくこのメッセージは甘美な福音となり人々の心に響いたのだろう。参政党の支持者たちはエーリッヒ・フロムなど読んだことはないはずだし、今後も読まないだろう。

そんな参政党だが今回の躍進で法案提出の権利を手に入れた。民主主義を破壊するような法案を掲げ「既存政党にはやる気がない!」と騒ぎ立てる資格を得たことになる。

しかし自民党・公明党も旧民主党系野党連合も単独ではヘゲモニーを維持できない状況下でキャスティングボートを握る存在になったと捉えることもできる。今のところ参政党は自民党との提携は考えていないそうだが、そもそも選挙公約は選挙期間だけとうそぶいていた政党でありおそらくこの言葉にはなんの重みもない。

立憲民主党が自民党との大連立を否定しているので、石破政権は藁にもすがる気持ちで参政党にしがみつくかもしれない。ただし自民党の中には参政党とロシアによる選挙介入を指摘する人たちがいた。石破総理が参政党に近づいても路線対立が起きるのではないか。

“【国民主権不信任】思ったよりずっと多かった参政党支持者” への2件のフィードバック

  1. 細長の野望のアバター
    細長の野望

    「国民主権では幸せになれないと考える人が増えていることがわかる」、「政治がなんとかするからみなさんは何も心配しないで大丈夫です」という背景が、参政党が票を伸ばした要因であることは分かります。しかし、よく考えてみれば国民主権と言いながら、自民党に好き勝手にやらせたり、政治参加が希薄な今までの現状をみていると、参政党を選ぶと日本が良くなると思える要素がないと思います。分かりやすい手取り増額や”日本人”ファーストという名の外国人排斥が票を伸ばした要因なのかもしれませんが。

    1. ご無沙汰しております。

      >参政党を選ぶと日本が良くなると思える要素がない

      厳密に分解すると「日本全体が良くなる要素がない」ですよね。おそらくそもそもそれを信じていない人たちがいるんだと思います。これが実感できたのは高度経済成長期とバブル期までですが、そもそも今の人達はそれを知らないんですよね。となると相対的に自分たちを優先してくれと望む人たちが増える。そしてそのためには誰かを貶めないといけない。アメリカでは今それが起きていて、国内では非文書移民に向かい国外では中国と貿易不均衡に向かているんだと思います。国内では奪い合いによる万人闘争が起こり、対外的には同盟国窮乏策になる。