先日高市早苗氏が総裁選出馬への意欲を示したとお伝えした。しかしデイリーが「本人が否定している」と書いている。誤報であればフォローしなくてはと思ったのだが、どうもはっきりしない。本人が何を否定したのか書いていないのである。
いよいよ投票日となった。自民党が1人区でも票を取りこぼす可能性が指摘されており石破政権の今後に注目が集まる。これとは別に公明党がどこまで票を落とすのかにも注目が集まっている。公明党には支持者の高齢化という別の事情があり次回参議院選挙までに党勢を回復するのは難しいのではと言われている。集票能力がなくなってしまえば自民党が公明党と組む理由はなくなる。
これを合成して「石破総理の去就と連立の枠組みが大きく変動するのではないか」といわれている。時事通信は議席50が分水嶺としている。
こうした事情とは別に各地で既得権益化した候補者の椅子を巡り分裂が起きている。保守系の地方議員たちが自民党本部を見限り独自の候補を立てて中央の裁定を無視する事が増えており「保守分裂選挙」などと言われる。
奈良県は県知事選挙を巡り一枚岩になれなかった。地元市町村は既得権益の分配を求め現職を支援したが、高市氏は「これでは勝てない」と別の候補を支援した。結果的に維新の知事が誕生している。地元議員は地方利権は山分けしたいが無党派対策として中央がなにか大きな花火を打ち上げてくれることを期待している。地元から中央を支えようという意識はもはや存在しないようだ。
- 高市早苗大臣 帰りたくても帰れない 奈良県知事選挙のお家事情(NHK)
- 「今や悪人扱いなので」 高市氏、動けなかった保守分裂の奈良知事選(朝日新聞)
- 奈良知事選、維新・山下真氏が初当選…保守分裂で現職・荒井正吾氏らを破る(読売新聞)
今回の参議院選挙では「右傾化が進み自民党が抑えてきた保守票が参政党や国民民主党に流れている」と言われるのだが、実はその保守が地盤沈下・意欲低下を起こしている。
そんななか高市早苗氏が「腹をくくった」と曖昧な発言をしたことでマスコミは色めき立ち「高市早苗氏が(まだやると決まったわけでもない)総裁選への出馬意欲を滲ませたぞ!」と記事になってしまった。スポーツ紙ばりの「意欲か」となっているが期待感を醸成するには十分な内容。
この報道を受けて高市早苗氏本人が「否定」したとデイリーが伝えている。ただしXのポストをそのまま転載した内容で本人に真意を尋ねたわけではない。
実際の投稿を見ても「一体何を否定したのか」が全く書かれておらず、したがってそもそも総裁選を指したものなのか、総裁選出馬への意欲を否定したものなのかもよくわからない。事情を知らない人もいるようで「何を否定したのか?」と書き込む人もいたようだ。
石破総理をおろしたくてたまらないように見える産経新聞は石破総理の来訪に合わせて動員がかかったが100人が拒否したと言う記事を出している。
これが単に石破総理に対する反発なのか、あるいは奈良県知事選挙の遺恨なのかはわからない。維新の掲げる政策に対して思い切ったカウンターが打ち出せていないと言う気持ちがありその上でさらに「右傾化した」政党まで出てくるなど地方議員たちも大いに焦っているのかもしれない。
ただし繰り返しになるが地方が頑張って劣勢にある中央を支えようと言う意欲は感じられない。
高市早苗氏の去就はおそらく参議院選挙後にかなり注目されるだろう。選挙では隠されたままで争点化されなかった問題が「新しい争点」として浮上するからだ。
