読者動向調査ではリベラル勢力の結集を求める人達からの意思表明が多かった。そこでこのエントリーではリベラルを支援する立場からリベラル批判を展開しようと思う。昨今の分極化する政治言論ではなかなか見られない立場なのではないか。
読者動向調査ではリベラル勢力の結集を求める人達からの意思表明が多かった。おそらく意思表明した人の割合であり読者全体を代表しているわけではないと思うのだが、せっかく存在を可視化してくれたのだから、それに応える内容を書いてみたい。
鶴保庸介参議院議員の辞職について扱った記事で参政党躍進の裏側を分析した。政治家たちは自分たちのことを見てくれていないと言う気持ちが高まっている。この孤立した人々のコミュニティ参加願望に応えたというのが東洋経済のコラムの分析だった。
これは日本の新興宗教が良く採用する形。政治の世界では共産党(マルクス経)と公明党(法華経)の成功例がある。参政党ももともとの核となる教えがありそこから支持者を組織化しているようである。今後古い教えを維持するか信徒を拡大するかという岐路にあるがかなり思想の入れ替えも進んでいるようだ。
参政党が仮に短期間で躍進するならば、それは今の日本人が「帰属できる確かな集団」を熱望していたと説明されることになるだろう。
では報道特集は何を間違えたのか。
まず報道特集は「包摂社会」という概念が支持されなくなっているという危機感を持っている。さらにオールドメディアたるテレビがネットに忘れ去られるかもしれないとも感じているようだ。そこで外国人の権利擁護運動に焦点を当てるのだが、ここで大きな失敗をしている。
川崎の反ヘイトデモは確かに立派な運動である。しかしかつて程の盛り上がりはない。いわば忘れ去られた運動になっている。さらに選挙期間中は抗議運動が選挙妨害と見なされかねないため「黙って読書をする」という静かな抗議活動が行われている。
立派な運動だが、裏を返せば「誰にも見向きもされなくなった孤独な集団」が寂しく本を読んでいるようにしか見えない。政治運動にさほど興味がない人たちは「ああはなりたくない」としか思わないだろう。同じようなことは共産党の街頭運動にも言える。交差点で高齢者たちが何かを訴えているところを見るとどうしても寂しさが先に立ってしまう。
つまり報道特集は意図せず「リベラルに染まると孤立しますよ」と宣伝してしまっている。
ただ、この誤算をTBSが気がつくことはないだろう。Yahooニュースのコメントは「アンチ」で埋め尽くされており、第三者の視点がない。アンチのコメントに煽られる形で危機感を強めても問題は解決しないのだ。
本当にリベラル運動を盛り上げたいのならば、まず「被害者型の絶叫」は今すぐやめるべきだろう。いかにも孤立し風前の灯であるように見えてしまう。代わりに眼の前にいる人達をどう巻き込めるかを考えたほうがいい。ただし眼の前にいるのはアンチばかりなのでフィードバックは役に立たない。
心持ちの話ばかりをしていても物足りないと思うので少し技術的な話もしておきたい。現在SEOの時代が終わりAIOの時代が来ると言われている。いくつか特徴がある。
AIに何かを聞くときには「XXXが解決したい」という聞き方をするはずだ。
AIOの時代においてはソリューションベースのアプローチが求められる。このためAIOは「FAQ」というスキーマを準備している。テクニカルな手法はWordPressでFAQスキーマを実装するなどで検索すると良い。政党や政治運動のウェブサイトで「我が党の主張」しか書いていないところは今すぐFAQスキーマを実装すべきだろう。
次に投稿者のE-E-A-Tにも注目しよう。おそらくGoogle Analyticsなどで流入キーワードはわかっていると思う。自分のメディアや政党のサイトがどのようなキーワードで流入を集めているかを調べていないということはよもやないと思うのだが実際に検索してみて投稿者がどのようにブランド化されているかも調べてみると良い。意外と意図しない表記になっていたりする。
例えば当サイトはThe Key Questionsが投稿者として認識されているが、別のサイト(サブドメインが違っている)では個人名が出てくる。E-E-A-Tはブログエントリーごとに設定される記事投稿者をマークアップすることによって機械的に認識されることになっているので、投稿のマークアップ形式を見直すべきだ。
最新のSEO/AIOツールは設定したキーワードを元にタイトルと序文にキーワードが設定されているかをしらべてくれる。これが正しいと検索エンジンは想定通りの要約を表示してくれるのでクリック率が上がる。
これで国民民主党の凋落を説明することができる。
国民民主党は切り抜き動画で躍進した政党だ。しかし切り抜き動画を作り続けるためには「ネタ」を提供し続けなければならない。国民民主党の場合は常にネタなる事件を起こし続ける必要がある。国会開催中には様々なアジェンダを提示することができるが会期が終わるとその機会も減る。露出が減ると印象が薄まり支持率が低下する。
確かに切り抜き動画メディアは確かに売買されるほどの価値が生まれているが、Goolgeはオリジナリティのない情報があふれることに危機感を持っているとされる。2025年7月15日にYouTubeの規約が改正され収益化権の剥奪なども検討されている。
またE-E-A-T対応しているコンテンツをDiscoverでお知らせするなどの工夫も行われている。YouTubeでも閲覧数が少ないチャンネルが紹介されることがあるが、これもオリジナルコンテンツを作るクリエイターの支援を意識した変化だろう。
このE-E-A-T対応はについては詳しい専門家に取材してみるといいだろう。
切り抜きはいかにも焼畑的で時代遅れだ。代わりに支持者たちにE-E-A-Tを意識した記事を書いてもらい徐々に支持者を増やすというネット的組織化こそが今後は重要になってくる。こうした手法は今や珍しいものではない。おそらく専門家を探すのはさほど難しくない。むしろ「まだやっていなかったのですか?」と言われるかもしれない。
ネットで情報を広げたいならば、まず有権者が持っている潜在的ニーズ(ここでは孤独の解消)を解決しつつ、ネット環境の変化にも対応していかなければならない。気持ちと技術が噛み合ってこそ真のマーケティングと言えるだろう。番組のプロデューサや党の幹部など「難しいことは誰かに任せたい」と思うかもしれないがまずは自分たちで実践してみるべきだろう。
