このブログをロンドン、シンガポール、タイから閲覧している人がいるようなのでまず最初に書いておきたい。「右傾化している」とはいえ市民たちの間に外国人排斥のデモなどの過激な動きが広がっているわけではない。ただしニュースでは政党党首たちが「外国人問題」について触れることが多くなったと言う指摘はある。
石破総理が外国人問題に対処する新組織の設立を表明した。選挙でこの問題が浮上したことに危機感をつのらせているのだろう。なんと場当たり的なと思った。
だが調べてみると別の驚きを感じた。自民党政権は外国人の受け入れを増やしているにも関わらず外国人問題を自治体に丸投げしてきた。今回も司令塔だけ作って実際の対策を自治体に丸投げすると更に混乱するだろう。
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場当たり的な石破総理の外国人問題対策
「右傾化」する参議院選挙
日本の参議院選挙は自民党・公明党の過半数割れ可能性が指摘され、国民民主党と参政党の躍進するとされている。
選挙期間中なので特定の政党を批判する事も言えないのだろうが、TBSは参政党の政策を問題視しているようだ。アムネスティも「権威主義と右傾化が明確」と懸念を表明している。このビデオの4分23秒あたりに「外国人問題について触れた政党が多かった」との指摘がでてくる。
他陣営の偵察や報道の増幅によって、石破政権も「外国人問題が注目を集めている」と察知したのだろう。外国人問題を扱う司令塔組織の新設を決めた。「なんと場当たり的な」という気がする。
改めて「そもそも外国人問題って何だ」と考えてみた。調べれば調べるほど問題山積といった感じで「よくここまで放置したな」という気がする。
あくまでも個人的感覚だが最近アジア圏からの外国人を多く見かけるようになった。外国人就労者とその予備軍だろう。実際に働いている人もいれば駅前の日本語学校に通う学生さんたちもよく見かける。日本は人手不足を背景に特定技能就労者を増やしておりその影響なのではないかと感じる。
そもそも外国人とは?
そもそも日本における外国人の現状はどうなっているのだろうか。技能実習生が増えているのか。
実は中国人が三割弱ほど(87万人)になっており、技能実習生よりも永住者のほうが増えているそうだ。一時期は在日外国人といえば在日韓国人だったが帰化が進み数は減っているようだ。
複雑化する外国人問題
低成長が定着すると社会上昇が望めない中流階層の不満が溜まってゆく。このニーズを汲み取ったのが嫌韓運動だった。先日お伝えした報道特集の取材では嫌韓は産業化しておりメディアを売り買いする仲介業者も出てきている。今回の「右傾化」はこうした嫌韓運動が「日本人を優先すべきだ」という運動に格上げされつつあるものとして理解できる。
クルド人難民問題
その一環がクルド人問題だ。日本は西側諸国に歩調を合わせるためにクルド人難民を多く受け入れている。しかし難民の受け入れには政治的ハードルが高い。本来難民申請者は申請の間施設に収容することになっているそうだが、施設の数も足りないため「仮放免」処分を受けている。この人たちが川口市に固まって住んだため外国人排斥のターゲットになってしまった。
ベトナム人問題
日本政府は人手不足を解消するために技能実習生制度を取り入れた。ところが外国人労働者の保護には力を入れず単なる便利な労働力として扱ったため人権侵害が横行している。
ところが問題はここで終わらなかった。脱走したベトナム人は各地で日本社会と衝突するようになった。北関東を中心にベトナム人の犯罪に関する報道をよく聞くようになった。中には社会保障費負担に耐えかねて「強制送還されるまでは社会保障費を払わなくて済む職場で働こう」と考える人もいるそうだ。米国で言うところの「非文書化移民」が日本にもいる。
おそらく関税の影響で日本の製造業は人手を減らすだろう。リーマンショックの派遣切りのような外国人切りが起これば、彼らは地域に「放出」されてしまうかもしれない。
中国人の不動産買い占め問題
ところが外国人と言ってもすべてが労働者・難民というわけではない。最近では中国人がマンションを所有し民泊化するケースがでてきている。このために家賃の値上げを行い社会問題化している。テレビ朝日が「独自」でこの問題を追いかけている。
ざっと思いつきで調べただけでこれくらいの問題を洗い出すことが出来た。
最初は「一部右傾化した政党に引っ張られてなんと場当たり的な」と思ったのだが、調べれば調べるほどよくもここまで問題を放置したなという気がする。他にも日本の健康保険にフリーライドする中国人の問題(実際にそんな問題があるのかは不明だが)やいわゆる「外免切り替え問題」などが指摘されている。探せば外国人問題などいくらでもでてくるだろう。
外国人を入れたのに何もしてこなかった自民党政権
生活習慣が違う外国人が増えればそもそも閉鎖的な日本社会で文化的軋轢が増えることは想像に難くないが自民党政権は何もしてこなかったことがわかる。
安倍政権時代の2018年8月28日に入出国管理庁が設立され500人規模の増員があった。地方の人手不足に応えるために2019年4月に在留資格に特定技能という新しいカテゴリーが加わったからである。
アベノミクスのときにも「インフレが始まったらなにか考えるんだろうな」と思っていたが結局政府は何も考えていなかった。今は「物価高対策」で大騒ぎしている。
同じように外国人問題も入出国管理の人員を500名程度増やしただけだった。今回の場当たり的な石破総理の司令塔づくりを見ると問題そのものを認識していなかったことがわかる。
対応はすべて地方自治体に丸投げ
実際の対応はすべて地方自治体に丸投げになっている。クルド人問題でターゲットになった川口市の市長は国に対して「なんとか対策をしてほしい」と要請してきたが結果的に何も変わらなかった。それが選挙になると「ああこれはまずい」ということになり新しい対策を講じるとその場しのぎの約束をする。
そもそも日本人ファーストの人々は納得するのか
外国人排斥運動は嫌韓運動の時代からそれなりの盛り上がりを見せている。
だがその実態は「自分たちの待遇の不満」であり外国人問題は憂さ晴らしに過ぎない。だから外国人対策をしても彼らは納得していない。在日韓国人には在日特権があるという根拠不明な指摘は多く見られた。事実よりも主観が問題なのだ。
在日中国人の人口が佐賀県や山梨県を超えて、日本の都道府県レベルの人数になったことは脅威か?によると、在日中国人の人口が佐賀県や山梨県の人口を超えたと書くと「日本消滅の危機だ」と訴えてくる人がいるそうだ。
本音では自分たちこそ優遇されるべきだと言いたいがそれが言えないために自分たちより下のものを作って攻撃したいのである。いわゆる「右傾化」した人々はこの辺の事情がよくわかっておりメッセージを調整している。問題解決ではなく自分たちのメッセージを浸透させるために外国人問題を利用し、それに呼応して「目覚めてしまう」人たちがいる。
おそらく石破政権は「外国人問題に関心が高まっている」ことまでは気が付いたのだろうが、問題の根幹が一億総下中硫化にあるというところまでは認識していないものと考えられる。
林官房長官は「経済成長には海外の活力を取り込むことが不可欠」と言っており中国人の投資は引き続き受け入れたい考えを示している。外国人の土地取得についての反発も高まっていると考えると「政府の対策は全く不十分だ」と受け止められる可能性があるのではないか。
