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なぜ、消費税減税・給付議論はいつまでも解決しないのか?


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ニュースをまとめてQuoraに書いてからブログで再整理することにしている。今回のテーマは給付とバラマキだった。ただこれを書いていて「そもそも基本的構図がが理解されているのだろうか?」と気になった。改めて聞いたところどうも理解されていないようだ。

テキストは玉木雄一郎代表の投稿だ。

インフレが始まると税のしきい値が相対的に下がるブラケットクリープという現象が起き税収が上振れする。つまり、ブラケットクリープには実質的に増税効果があるためアメリカ合衆国では毎年ブラケットクリープ調整が行われる。コストプッシュ型のインフレで給与が上がらない場合は更に重税感が増す。玉木雄一郎氏のコメントはこのブラケットクリープの問題を取り上げている。近年、自民党が選挙を意識する状態が続いていたため常に何らかの給付金を手を返し品を変え配り続けている。毎回制度が違うため地方自治体は混乱し疲弊する。であればインフレに連動した減税を行ったほうが効率的な行政運営ができる。

おそらくこの文章が出来ない人が多いのではないかと思う。有権者は「あれ?なにかおかしいな」とは感じつつモヤモヤとした気分になるのだろう。

基本的な背景構造がわからないと人はどう反応するのか。意見聴取をしてみないとわからないが、おそらく「わかりませんでした」と自己申告してくる人はいないことは容易に予想できる。代わりに「ポジショントークなのだろう」と考える人はコメントを書き込んでいる。最初から話を理解するモードではなく「排除モード」になっている。

つまり、

  • なんか怪しいからあの人の言うことは聞かないほうがいい

と理解してしまうようである。

基本的テキストの解釈は行われず、あれこれと損得勘定が始まってしまい、基本的な構造の理解がおろそかになってしまうようだ。

ただこの問題を考えていて「そもそも自民党と公明党の人たちは背景構造を理解しているのだろうか?」と感じた。

どうも怪しいのではないかと思う。基本的構造は同じだ。日本の政治の何が行き詰まっているのかは考えない。損得勘定で忙しすぎてそれどころではないのである。

立憲民主党が消費税の時限減税と一律2万円給付を決めた。自民党は「地域に優しい・地域の不効率を温存」したいため将来の税収は手放したくない。だから消費税減税は絶対にやりたくない。とはいえ選挙に負けてしまうと元も子もなくなってしまう。いろいろな政策を打ち出したものの決め手に欠けるため即効性のある選挙対策として立憲民主党よりも少し多めにお金を配ることにした。

現在3万円から4万円位を軸に検討が進んでいるそうだが、これも人間関係に基づく損得勘定だ。

テレビ報道によると「バラマキ批判」を恐れて一度議論が沈静化していたそうだ。かつてこんな報道が出ていた。

しかし、結局選挙に大きなインパクトを与える決め手が見つけられなかったため、いつもの手法に戻ってきた。

ただ、そもそも政治記事を貪るように読んでいる人たちが基本的な構造問題を理解できないと考えると、それは教科書を黒塗りにして読んでいるようなものだろう。代わりに人間関係で理解しており「この人はこういう人だから」「こうに違いない」と脳内で黒塗り部分をあれこれと書き換えていることになる。

そしてそもそも意味が読めない人たちはこうしたコメントを見て「きっとそうなのだろう」と納得してまう。オリジナルのテキストが読まれることはなく、いつまでも終わりなき論争が続くことになる。ただ彼らは政治については全てすでによく知っているので新しいことを勉強する必要などないわけだ。

となるとこれから書こうとしていることも「この人は石破政権に批判的なポジションだからこういう表現になっているのだろう」と理解されることになる。

構わず続ける。

石破総理は2040年までに所得を1.5倍にすることを打ち出したが全く話題にならなかった。総裁任期後にゴールを設定することで責任を回避しようとしていると理解できる。さらに具体策は今後検討されることになる。総理・総裁就任時の「楽しい日本」は国民には全く響かなかったし、衆議院選挙の公約を覚えている人もいないだろう。結果的に一度断念した現金給付に戻ってきたということはそれ以外の打ち手が見いだせなかったということである。

蕎麦屋の出前ではないが「今作ってます」というのは「作っていない」という意味だ。そもそも蕎麦が打てないのではないか?と疑ったほうがいい。

更に給付額についても7月上旬に2024年度の税収実績が出るまでは発表しない考えなのだそうだ。

今決まっていることは2つある。

  • とにかく消費税は死守する
  • コメの安定供給のために国民に負担を求める

しかしこれでは選挙に勝てないので自分が総裁を退いた後にはきっと所得が上がっているはずという仮想の目的を置いている。具体的な目標が掲げられないため、選挙のために配るお金を2万円にするか3万円にするか4万円にするかを一生懸命議論していることになる。

ただ具体策はこれから検討しますというものばかり。

選挙対策はあからさまな「釣り」になっている。給付をエサに将来の負担を承認させるというやり方である。ただエサすら満足に見つけられない状況。

しかし国民の中には「変わりたくない」「決めたくない」「面倒に関わりたくない」という気持ちが根強い。結果的にこれが国民経済を良くする見込みがない自民党を延命させていることになる。

ちなみに2040年には2040年問題というものが起きることが予想されている。所得を1.5倍にしますというアピールが経済専門家に全く響かなかったのはこのためだ。すでに専門家たちは「この問題をどうするのですか?」と情報発信しているが中身のある回答は得られていないのである。

この文章は政治家ではなくキャノンマーケティングジャパンのウェブサイトから取ってきた。政治はおそらく何もしないだろうとの前提の元で現実的な対応を顧客に求める内容だ。

2030年問題と2040年問題は、いずれも「少子高齢化」が根本的なキーワードです。しかし、両者の違いはその深刻さにあります。

2030年時点では、労働力人口の減少によって高齢者や社会を支える財源の不足が懸念されています。一方、2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上になることにより、財源不足だけでなく、社会制度そのものの存続も危ぶまれる可能性が生じるのです。

2040年問題とは?2040年問題が引き起こす労働市場の変化とその対策(キャノンマーケティング)

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