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中国がアメリカに対して潜在的な農業テロ?


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ABCニュースが「中国がアメリカに対して潜在的な農業テロを起こそうとした」とと言うニュースを扱っていた。仮に司法省の言い分を信じると「中国はとんでもない国だ」と感じる。しかし、主張しているのがトランプ政権だからなあという気もする。とにかく根拠が薄弱なエビデンスをいちいち並べ立てるところがあるからだ。

中国人2名が逮捕された。当局の発表によるとアメリカの穀物に被害を与えかねない菌を持ち込んだ疑い。1名は「中国共産党に忠実なメンバー」とされている。つまり、中国共産党がアメリカに農業テロを仕掛けようとした事件だという印象である。

確かに米中関係は悪化しており「中国共産党もこれくらいのことをやりかねない」と考える事はできる。だが、しかし……である。

CNNはなぜかハーバード大学の件を引き合いに出している。ハーバード大学は中国の留学生に経済的に依存しておりトランプ政権から敵視されている。生物学的病原体と言う表現がおどろおどろしい。

ただこのニュースを読んでも

  • やはり中国は危険だからハーバード大学は中国と手を切るべき
  • トランプ政権はありもしない脅威を撒き散らして自分たちに有利な状況を作ろうとしている

という二極化した政治言論を覆すことはできないだろう。

トランプ大統領の対中国戦略は行き詰まっている。トランプ大統領は深夜2時にSNS投稿を行うなど焦りをにじませているようだとBloombergは書いている。

トランプ大統領の中国敵視政策は場当たり的なものかもしれないが、その背景には中国脅威論を煽り立てたい人たちがいる。彼らは確信犯的に中国脅威論を煽り立て国際情勢を緊張させようとしている。

ルビオ国務長官は天安門事件の犠牲者を追悼し「中国の人権状況を批判」した。

トランプ政権はSNSチェックを通じて自分たちに都合が悪い主張をする留学生たちの思想信条検査行おうとしている。しかしルビオ国務長官によればあくまでも「アメリカに敵対的な姿勢を持ちアメリカ人を監視してきた政府」に対する抵抗手段という位置づけだ。

自分たちのセンサーシップ(検閲)を正当化するためにことさら中国の姿勢を激しく攻撃しているという側面と我田引水的に自分たちの主張に合わせようとしている側面がある。

アメリカ合衆国は自国優先主義の道具として安全保障を武器化している。一方で中国は2027年までに台湾に軍事侵攻すると「確定的な事実」として挙げ、アジア各国に防衛費をGDP比5%まで増やすように要求している。

アメリカの政治言論を毎日見ているのでこれくらい無理筋の要求も「まあアメリカならあり得るだろうな」とは思うのだが、アメリカの政治言論に慣れていない人から見ればめちゃくちゃにしか見えないのではないかと思う。

ヨーロッパはそれなりに安全保障の自前化に取り組んでいるようだが(中には行き過ぎた「好戦的な」動きも見られるが)日本は変化しつつある状況に対応できていない。

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