Axiosは娯楽としてはかなり面白い。毎日のように荒唐無稽のネタが紹介されている。今日もトランプ大統領がバイデン大統領はすでに死んでいるという投稿を引用したと報道していた。
Axiosはトランプ大統領のTruth Socialの投稿を問題視している。様々な政治的主張に紛れてとんでもないフェイクニュースが紛れ込んでいるからだ。バイデン大統領は2020年に暗殺されており、今はクローンかロボットに入れ替わっているという主張が紹介されているのだそうだ。
これだけなら「困った大統領だ」だけで終わるかもしれない。しかしトランプ大統領の投稿は前にも増して混乱している。
トランプ大統領は世界がアメリカを滅ぼそうとしているとして国家危機を宣言。この認識をもとに高い「相互」関税を課すことにした。この関税は国家収入としても期待されている。
実際にこの相互関税はいくつかの報復関税を招いた。また連邦地裁はそもそもアメリカが国家的危機にあるという事実はないとし大統領の関税は一部無効であると宣言。現在は最高裁判所が執行猶予の判断を下している。
トランプ大統領は「大統領に関税を発令する権限がなければ外国の一方的な報復関税を認めることになる」と最高裁判所が自分に優位な介入をしてくれることを期待するSNS発信を行っている。
しかしよく考えてみればそもそもトランプ大統領が相互関税をかけなければ問題そのものはなかった。
ただ、トランプ大統領がそもそもこうした因果関係を理解しているのかと問われると「おそらく理解はしていないのではないか」と結論付けざるを得ない。戦略的に狂っているわけではなく寝不足の頭でSNSで情報発信を続けている可能性が高い。
こうしたトランプ大統領の混乱ぶりは嘲笑の対象になっており一部では「チキンレースで最初にまばたきをするのはトランプ大統領だろう」というTACO理論が喧伝されはじめている。
するとトランプ大統領は引き下がれなくなり「中国が協定破りをした」と絶叫。中国も「だったらこっちにも考えがある」として報復を示唆した。米中貿易戦争が加熱するのではないかと市場が受け止めた結果、対円でドルが急落し142円台に下落している。
絶叫と脅ししか戦略がないトランプ大統領のもと、議会の「一つの大きくて美しい法案」にも暗雲が立ち込めている。アメリカ合衆国の債務が拡大する可能性が高まっており一部の共和党議員が反発している。トランプ大統領に近い人達は結果的に経済成長が加速するから問題はないとしているが本当のところは誰にもわからない。
混乱を受けてベッセント財務長官は「アメリカ合衆国がデフォルトに陥る可能性は絶対にない」と主張。却ってベッセント財務長官が焦りをつのらせていることが明らかになった。
国債金利がじわじわと上がり始めており「アメリカ離れ」が加速する。これまでの事例を参照するならば議会はギリギリのところで妥協するのではないかと思うのだが、この先7月4日の独立記念日にかけて、アメリカの株価はかなり悪化するのではないかと感じる。この先の推移を予断を持たずに観測したい。