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ポーランド大統領選では保守系野党が勝利


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ポーランドでは2023年に議会選挙が行われPiSが野党に転落した。しかし大統領はPiSが握り続けていてトゥスク首相と対立してきた。今回の大統領選挙ではPiSも推薦するナブロツキ候補が大統領に就任し「二極化」が解消していないことが明らかになった。

ポーランドは反EU感情が強くPiSの躍進を支えてきた。ブリュッセル官僚に上からあれこれ指図されたくないと言う人がカトリック信仰などを理由に「ポーランドの独自性」を支持してきた。ところがロシアがウクライナに侵攻すると事態が変わる。EU・NATOからの支援を背景に安全保障基盤を確保したいという人が増えた。

アメリカ合衆国でもキリスト教の伝統を重要視する人たちが連邦政府の「意識高い系」改革に反発しており構造としてはよく似ているところがある。

結果的に大統領選で勝利したのは親トランプ・EU懐疑主義の保守派の野党だった。

BBCによればポーランドの大統領は儀礼的存在だが限定的拒否権がある。つまり積極的な提案はできないがトゥスク首相の提案をブロックする権限がある。もちろん議会はこの大統領の拒否権を覆す権能があるそうだが、今の議会構成では数が足りないため大統領に提案を拒否されてしまうと対抗手段がないそうだ。

CNNは親トランプ派が勝利したことを問題視しているが、Bloombergはトゥスク首相の親EU政策が頓挫しEUの混乱が加速することを心配しているようだ。

つまりメディアによって今回のPiSの勝利が何を意味するのかについてコンセンサスはなく「二極化が解消しておらず」「先行きの見通しが立てられなくなった」ということだけがわかっている。

2025年6月3日には韓国の大統領選挙が行われる。李在明氏がリードしていると伝えられているのだが韓国政治も二極化が進行している。アメリカ合衆国の政治の二極化も考え合わせると自由主義陣営の政府はどこも「解のない問題」を解くことを求められているということがわかる。

構造的に何が問題なのかがわからないがためこの先どうなるのかは未知数だが、一つの時代が終わりを迎えようとしているということなのかもしれない。つまり自民党の役割が終わりつつあるのは単に自民党の問題というよりは戦後自由主義陣営に広く見られる問題だということになる。自由主義・資本主義が民主主義を支える中間層から支持されなくなっているのである。

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