江藤前農水大臣の不規則発言をきっかけに小泉コメ劇場が開幕した。このコメ劇場がコメの価格下落につながるかは未知数だが国民の間に食品価格高騰に対する疲れが見え始めていることがわかった。
しかしこの問題を解こうとすると自民党は解のない問題を解く羽目になり議論によって瓦解するだろう。小泉農水大臣は父親が成し遂げられなかった(あるいは成し遂げるつもりなどなかった)約束を成就させてしまうかもしれない。
小泉純一郎総理大臣は「自民党をぶっ壊す」と言っていた。
今回の小泉進次郎農水大臣の一連の行動は国民の間にある根強い食品値上げ疲れを可視化した。これに慌てた自民党幹部のおじいさんとおじさんたちは「備蓄米は美味しいね」と慣れない芝居をテレビで披露する羽目になった。イケメンで血筋の良い小泉進次郎氏の発信力に脅威を感じているのかもしれない。
しかしながらそれよりも大きかったのは(たとえ一部とは言え)安いコメに群がる消費者の映像がテレビで可視化されたことだろう。国民の間に強い食品値上げ疲れがあることがわかった。
自民党幹部はこの議論が消費税減税議論に火をつけてしまうことを恐れているのではないか。小泉進次郎大臣に倣って「食品価格高騰対策」に流れる議員が出てくると事態収拾はおそらく不可能になるだろう。政府は骨太の方針で「財源なき減税」を否定するのではないかと共同通信が「独自」として伝えている。
消費税減税は断固として拒んでいる自民党幹部だが自分たちの票田には5年間で2.5兆円のカネを流せと主張している。森山幹事長は備蓄米を支援してやったのだからこちらの要求を通せとばかりに小泉農林水産大臣に請求書を突きつけた。票田の減少を恐れる農水族は農家の効率化には極めて消極的。むしろ国費をもっともっとつぎ込むようにと要求していることになる。
政権幹部は政局の流動化を恐れており「不信任案が出れば可決を待たずに議会を解散する」とした。森山幹事長と総理大臣の「共通認識」だそうだが一般的には総理大臣は解散には言及しないことになっている。解散するつもりがあれば言及しないということになり「実際に不信任案が出ることを恐れている」と結論づけることができる。
政府はコメの安定供給に関する閣僚協議をスタートしコメの増産について議論することになる。減反の見直しも議論されることになりそうだ。
ところがこの議論には最適解がない。
食品価格高騰に疲れている消費者に対応しようとすれば安い価格でコメを売らなければならない。しかし農家はこの価格では農業経営を続けられない。
では農家に収入を補償してやればいいのではないかということになるのだが、石破総理は「農家を税金で助けてしまうと根本的な問題解決にならない」としている。つまり国民は「高いお金でコメを買う」か「税金で高いコメを買うか」の二択になってしまうからだ。
そしてそもそも農林族の森山幹事長は「自分たちの票田に巨額の国費を流し込むように」と高い請求書を突きつけている。そのやり方はいかにもあからさまだ。
つまりどこかで儲けてその儲けを国内に還元するという図式を復活させない限り自民党政権だけでなくどの政権も同じ「解のない問題」を解かされるハメになるということになる。
議論をすればするほど「解がない」ことが明らかになってしまう。つまり自民党は議論を通じて崩壊する可能性があるということになり、政党としての役割を終えつつあるのだという結論が得られる。
