9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


【短報】農林水産大臣の後任候補に小泉進次郎氏

8〜11分

イイネと思ったら、Xでこの投稿をシェアしてください

読売新聞が「農林水産大臣の後任候補」が小泉進次郎氏であるとの新聞辞令を発令した。小泉氏は無党派層対策として度々担ぎ出されることがあるがそのたびに経験不足を露呈してきた。なお読売辞令は世間の評価を見るために用いられることがあるため最終決定ではない。そもそも江藤大臣は「辞任不可避」であり辞任が決まったわけではない。読売辞令の狙いは世間の反応を見るサウンディング(古い言葉で言えばアドバルーン)なのかもしれない。

読売新聞は「農協改革に携わった経験があり適任と見なされた」としているがこれは表面上の言い訳なのではないかと思う。普通に考えると石破総理が選挙直前に大きな支持母体を失うような改革を断行するはずなどないからだ。

小泉氏は自民党農林部会長として農協改革に携わった経験があり、米価引き下げに向けた改革手腕に期待しているものとみられる。小泉氏は、衆院神奈川11区選出で当選6回。石破内閣発足にあわせ党選挙対策委員長に就いたが、昨年10月の衆院選後に辞任した。

江藤農相更迭へ…小泉進次郎氏が後任有力、農協改革に携わった経験(読売新聞)

小泉進次郎氏は「無党派層への受けの良さ」から環境大臣に指名されたことがある。確かに子育て世代としての発言にはそれなりの安心感があるが世間知らずの印象もありちょっとした発言が反発されることがある。

ただし、環境大臣を退任した後は表立った活動を控え「雑巾がけ」に熱心に取り組んできた。7月までの短い期間に農協改革と物流改革を断行できるはずはないので、選挙対策副委員長として全国を回った経歴を活かした選挙対策と見るべきだろう。石破総理が問題解決ではなく選挙対策を通じた自身の保身を図っていることがよく分かる。

自民党は、小泉進次郎・元環境相を国会対策(国対)副委員長に起用する調整に入った。小泉氏本人が「勉強したい」と希望したという。8月中に正式決定する。

小泉進次郎元環境相が国対副委員長に「雑巾がけ」を引き受ける姿に「心意気はお見事」「国会審議がストップしそう」賛否両論(Flash)

ただ、Quoraでこの問題について書いたところ「自民・小泉氏「農林中金いらない」 融資姿勢を批判」という日経の記事を引き合いに順当な人事なのではというコメントが付いた。2016年の記事だった。

石破総理自身も2009年に「コメ減反を巡り農水族と激突した」時代があった。記事は2009年2月に書かれている。麻生政権の末期だった。それまで松岡利勝氏(農水省管轄事業に絡んだ談合事件)、赤木徳彦氏(いい加減な政治活動資金処理で疲弊し絆創膏を貼って会見に臨んだ)、遠藤武彦氏(置賜農業共済組合掛金不正受給疑惑)、太田誠一氏(事故米不正転売事件=三笠フード問題)らなどが辞任しており(松岡氏は自死)、石破氏は前任者と違い無難に農水大臣を勤め上げたと書かれているが、最終的には麻生総理大臣おろしに加担し恨まれることになった。

石破氏は米価維持にこだわらずコメ農家が自主流通を選択できるようにすべきと主張、これに対して農林族は「もっと勉強しろ」と提案を拒絶していた。結果的に今回はこの自主流通がコメの価格を押し上げている。

確かに、今回の問題を奇貨として「農協改革を通じてコメの値段の最適化」を狙う戦略にシフトするのだと考えることはできる。また、実際に農協改革を期待する人も多い。

しかし選挙直前に無党派層の期待を受けて安易な農協改革に突っ走ってもすぐにコメの値段が落ち着くことはないだろう。原因は農林行政の不透明さに起因した「コメは足りていないのではないか」という市場の見込みだからだ。

例えば村上総務大臣も過去に「安倍総理は国賊」とか「アベノミクスが円安と株の下落を招いた」などと発言していたが、政局の安定を優先し持論を封印するようになった。

仮に石破総理が焦って「改革志向」にシフトしてしまうと党内にいる改革勢力と保守(守旧派と言っても良いが)のバランスが急速に崩れることが予想される。

夫婦別姓問題では党内がまとまらず「野党の得点を防ぐために反対の党議拘束をかけるべきだ」という意見が上がっている。

石破総理が自民党崩壊の引き金を引くために農協改革に前向きの小泉氏を農林水産大臣に充てようとしているのか、あくまでも自己保身を狙い「イメージだけ」の小泉農林水産大臣を任命しようとしているのかに注目が集まる。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで