バイデン前大統領の前立腺がんの診断が波紋を広げている。トランプ大統領は根拠なく「隠していたのではないか」と示唆しており相変わらずのクズっぷりを発揮している。一方で本来はリベラルであるはずのAxiosも「バイデン政権には隠蔽体質があった」と指摘している。
トランプ大統領は「バイデン大統領サイドは症状を隠していたのでは?」と仄めかしている。関連記事を探したところなぜかNHKの英語版が見出しとして取っていた。
Speaking to reporters on Monday, Trump said: “I think it’s very sad. I’m surprised that it wasn’t public, wasn’t notified a long time ago.”
Trump questions timing of Biden’s cancer announcement(NHK)
He pointed out that it usually takes a long time for cancer cells to spread to the bones.
トランプ大統領がこのように発言するとリベラル系メディア(つまりほとんどのマスコミ)は脊髄反射的に反論したくなってしまうようだ。ABCニュースは時系列的に医師の診断を伝え、なおかつ「アメリカでは高齢者にPSAテストを行わなくなっている」と主張している。
そもそも悪性の病気を抱えている人を追い込むのは「人道的にいかがなものか」という気はする。ボー・バイデン氏の症状を隠そうとしていたという本まで出版されるそうだ。ボー・バイデン氏が脳腫瘍で亡くなったからバイデン大統領の認知能力がおかしくなり始めたなどと指摘しており、本のタイトルも「オリジナルの罪」となっている。
ここまでを選択的に見ると「トランプ大統領とその支持者のクズっぷり」を批判したくなるのだが、本来リベラルと理解されるAxiosも「バイデン大統領のスタッフにはもともと隠蔽体質がある」ため、認知の問題を隠していたのではないかとする記事を出している。タイトルにもわざわざ「同情と疑惑」とつけている。
あくまでも個人的な感想ではあるが、トランプ候補との対決が接戦になったことでバイデン陣営が意図的に衰えを軽視した可能性はあるのではないかと思っている。
特に後半の議論は高齢者同士の罵り合いだった。認知能力が衰えても罵り合うことは可能だ。メタ認知(自分が社会的にどう見られているのか)も気にしなくなるため却って罵り合いに有利なメンタリティになる。
これは高収益を目指して高齢者シフトした家電やPC企業が陥った罠の原因にもなっている。サポートを充実させると対応できなくなった高齢者がしがみつくように電話をかけてきて結果的にサポート回線が疲弊するということが起きる。結果的に企業は高齢者を持て余し事業から撤退してしまうのだ。PCは中国系企業が増えているが、パナソニックは家電やエアコンから撤退する決断をした。売上におけるウエイトは高いが収益率がかなり落ちていると伝えられている。
トランプ大統領は一時は「プーチン大統領は停戦を望んでいないのではないか」と気がついたようだが、様々な問題を考えているうちに疑念を忘れてしまいもとの認識に戻ってしまったようだ。
誰の目から見てもプーチン大統領がトランプ大統領を軽くあしらっており単に時間稼ぎをしていることは明白だ。ヨーロッパサイドは「今度こそトランプ大統領は制裁強化に動いてくれるだろう」と期待して電話会談に望んだ。
ところがトランプ大統領は「プーチン大統領は交渉に同意した」との認識を示した。と同時に「これは自分の戦争ではないから撤退するかもしれない」と仄めかし始めた。プーチン大統領に対する認識がもとに戻っており、なおかつ問題に飽きているということがわかる。
Axiosがこの一連の流れを伝えているのだがヨーロッパの首脳の間には衝撃が広がったと書かれている。
トランプ大統領は問題に対処する意欲を完全に失っているようだ。そんな彼が熱心に取り組んでいるのがSNS活動である。ブルース・スプリングスティーンさんの政権批判をキャッチし「干からびたプルーン」などと執拗に攻撃を加えている。Quoraのコメント欄でこの問題を報告してくれた人のまとめを見ると、実にマメに球を打ち返しており「おそらく寝ている暇はないのではないか」とさえ感じてしまう。
老害と決めつけてしまうと一部からお叱りを受けそうだ。しかし高齢者の衰えは必ずしも恍惚を生み出すわけではない。「ブレーキ」から先に壊れることもあり中には普段以上に精力的に活動する人も出てくる。
今回の状況から偉える学びは多い。まず、政治状況が老害化すると却って衰えの発見が難しくなる。さらに企業や個人の高齢者対策もこれらの一連の特性を踏まえたうえで対処しなければならない。ちょっとした否定をきっかけにして燃え上がる高齢者は意外と多いのではないかと感じる。決めつけだと憤る前に、高齢者がどのような特性を帯びるのかをじっくりと理解する時間を取るべきだろう。
