ゼレンスキー大統領が「トルコで待つ」とプーチン大統領との直接対話に応じた。なんとなく西部劇のような経緯だが一体何があったのだろうか。
発端はマクロン大統領が呼びかけた30日停戦提案だった。プーチン大統領が応じないことを見越して「ロシアは停戦に後ろ向き」という空気を作ろうとしたのだろう。
なぜヨーロッパはそのようなことをする必要があったのか。それはプーチン大統領には停戦の意思がないと揺れ始めていたトランプ大統領を問題に惹きつけておくためである。
結果的にプーチン大統領は何らかのアクションを起こさなければならなくなった。だがアメリカを引き付けておきたいとは考えていないようだ。そこで、ゼレンスキー大統領と直接対話をすると言い出した。つまり、トランプ大統領には間に入ってほしくないのだ。
ここから遡ると、ウィトコフ氏に対する提案にもさほど意味がなかったことがわかる。ロシアはウクライナに対する軍事支援からアメリカ合衆国を引き剥がしたいだけだった。
このようにロシアは一貫してアメリカ合衆国の関与を嫌っている。逆にヨーロッパとウクライナはアメリカ合衆国を引き付けておきたい。
仮にここでゼレンスキー大統領が対話に応じないと「ゼレンスキーが逃げた」ということになってしまう。そこでゼレンスキー大統領は「トルコで待つ」と宣言せざるを得なくなった。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領が今月15日にトルコでウクライナ側との直接会談を提案したのに対し、「トルコでプーチンを待っている。戦争を終わらせるために話す用意がある」と述べ、プーチン大統領に会談を呼びかけました。
ゼレンスキー大統領「プーチンをトルコで待つ」会談呼びかけ(NHK)
当初のシナリオが崩されたことでマクロン大統領は怒っている。
そのうえでマクロン大統領は、ウクライナと西側各国が少なくとも30日間の無条件の停戦を求めていることを踏まえ「アメリカとともに断固とした態度で停戦は無条件で行うべきで、その後、協議ができると言うべきだ」と述べたとしています。
プーチン氏“ウクライナ側と15日に会談の用意”トランプ氏歓迎(NHK)
ロシア、ウクライナ、フランスはそれぞれ「チェス」を行っている。いまのところプーチン大統領優位な状況でゲームが展開しているようだ。
一方でトランプ大統領はそもそもゲームの意味がわかっておらず「今週はでかい一週間になる!」と興奮気味にSNSに書き込みを行ったそうだ。