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実効性に疑問 イギリスとアメリカが貿易協定締結で合意

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数日前からトランプ大統領は「世界で尊敬されている国との貿易協定がまとまる」としてきたが、その国はイギリスだった。貿易協定が結ばれるというが対英貿易はアメリカの黒字でありそもそも相互関税の対象国になっていなかった。さらに今回の合意には詳細が含まれておらず「見切り発車」のようである。それでも市場は何らかの合意が結ばれたことに好感し反応はポジティブだったそうだ。

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FRBのパウエル議長は金利の据え置きを決めた後の記者会見で「今のところアメリカ合衆国の経済は好調だが、このままの関税政策が続くならば雇用に悪い影響が出るばかりでなく物価の上昇も続くだろう」とトランプ政権を強く牽制している。

これをうけてトランプ大統領はパウエル議長を強く牽制した。

トランプ氏は「『遅すぎる』ジェローム・パウエルは、何もわかっていない愚か者だ。それ以外の点では、彼のことはとても気に入っている! 石油とエネルギーは大幅に下落し、ほぼすべての価格(食料品と「卵」)が値下がりしており、実質的にインフレは存在しない。関税収入が米国に流入している――まさに『遅すぎる』とは正反対だ!エンジョイ!」と自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。

トランプ氏、パウエルFRB議長を再び批判-利下げ見送り受け(Bloomberg)

トランプ大統領の関税交渉は行き詰まっており、早期に妥結が見込めるはずだった日本との間にも合意の兆しはない。国内の政治基盤が弱く参議院選挙も控えている石破総理は自動車、鉄鋼・アルミの関税が交渉対象外であることに強く反発している。

このためトランプ政権はいずれかの国との間で何らかの交渉を早期にまとめる必要があった。選ばれたのはそもそも貿易赤字がなく相互関税がかかっていないイギリスだった。さらに合意の内容は極めて曖昧なものでスターマー首相は「詳細を詰める必要がある」としている。スターマー首相は先のイングランド地方選挙でリフォームUKの躍進を許しており国内の政治基盤は必ずしも盤石なものとは言えない。

しかしながらトランプ政権支持者たちはそもそも合意の内容にはさほど興味を持たないかもしれない。トランプ大統領が何らかの成果を上げ続けていることのほうが重要なのだ。

日本にも同じことが言える。アメリカの対英貿易は黒字なのでそもそも赤字の対日貿易とは合意の意味合いが異なっている。しかし、仮に中身に対して関心が集まらなければ「イギリスが合意を結べたのだから日本も合意を急ぐべきだ」という声は出てくるのかもしれない。

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