イスラエルは外国からのミサイル攻撃の95%を迎撃しているが、今回はたまたまフーシ派のミサイルを迎撃できなかった。空港近くに着弾し空のダイヤが乱れたそうだが死者は出ていない。CNNなどは「ミサイル防衛の限界・トランプ政権の戦略の行き詰まり」と書いているが「本当にそうなのか?」と思った。
実はAxiosがガザ地区を更地にするために核兵器の使用も排除しないと仄めかす記事を書いている。イスラエルが心理的に追い込まれているのだ。
アメリカのリベラル系メディアはとにかくトランプ政権の政策はうまくいっていないと証明したい。このため「イスラエル、フーシのミサイル迎撃失敗 米国による弱体化の取り組みの限界露呈」と見出しをとっている。日本のメディアも左派系メディアに「洗脳」されており大体似たような傾向の記事を出すことが多い。
ただし「外からの脅威が高まっており、イスラエルは対応しなければならない」と国民に示すことができるという「メリット」もある。
イスラエル軍のラジオ局の専門家は、今回のフーシからのミサイルが、驚異的な精度とイスラエルの防空網を突破する能力を示したと指摘した。「2000キロ離れた場所から発射されたとして、これほど正確だったとは感心した。この脅威を真剣に受け止めなければならない。イスラエル側の失敗なのか、それとも新たな種類の脅威なのか見極めなければならない」
イスラエル、フーシのミサイル迎撃失敗 米国による弱体化の取り組みの限界露呈(CNN)
Axiosのバラク・ラヴィド記者が興味深い記事を書いている。「行間を読むと、イスラエルが核兵器の使用を仄めかした」という内容だ。穏やかではない。
トランプ大統領は間もなく中東(サウジアラビア、カタール、UAE)を歴訪する。トランプ大統領はガザ地区の問題には興味を失っていて主にサウジアラビアなどと経済問題について話をするものと考えられている。この訪問にイスラエルは加えられていない。「今、イスラエルを訪問してもメリットはない」と考えられているそうだ。
ネタニヤフ首相はアメリカ合衆国がイランと直接交渉したり、サウジアラビアなどの中東の国と経済について直接話し合うのは面白くないと考えている。さらにトランプ大統領はイスラエルと距離を置きつつあり自分は排除されそうな状況だ。
そこで「ガザ全域を征服する」計画を打ち出した。ガザへの駐留を恒久化し住民を内部に移動させた上で北部に緩衝地帯を作るという内容になっている。ところがハマスとの交渉はうまくいっていない。
そこで「和平と核兵器のどっちがいいんだ?」と匂わせた(行間で仄めかした)とバラク・ラヴィド記者は書いているのだ。直接宣言したわけではなく記者に行間を読ませたというのがポイント。
Between the lines: Many Israeli officials see this operation as a nuclear option and would much prefer a deal in the next two weeks.
Israel plans to occupy and flatten all of Gaza if no deal by Trump’s trip(Axios)
トランプ大統領はイスラエルの戦争に引き摺り込まれているという印象を避けようとしており「イランを攻撃する時は主体的に判断する」と言っている。さらにネタニヤフ首相との接触を控えている。
ネタニヤフ首相は自分が排除されつつあることを理解しているため「国内外の気持ちを引きつける」ためにわざとミサイル防衛に失敗して見せたとしてもそれほど不式ではない状況が生まれているといえる。
さらにそれでも足りないとなると今度は「核兵器を使うかもしれない」という記事を英語が堪能な記者に書かせる。
イスラエル当局の追い込まれぶりがわかるが、それでも必死にアメリカ合衆国とトランプ大統領にしがみついている。アメリカ合衆国はイスラエルに足をつかまれており新しい戦争という泥沼に引き摺り込まれようとしている。
従前より核兵器は危険な武器だと言われてきた。持っていれば当然それを使いたくなるのだ。