5月4日はスターウォーズ記念日。英語の「メイ・ザ・フォース」が「フォースと共に在らんことを」と響きが似ていることに由来しているという。ホワイトハウスはこの日に合わせてトランプ大統領がライトセイバーを持っている画像を掲載したが、あるディテールで致命的なミスを犯している。
見た瞬間にはこれはネタ・アカウントなのではないかと思ったが、確かめてみると関連報道も出ており、本物のようだ。
投稿内容は民主党支持者を「急進左派」と位置づけている。急進左派はダークサイドに堕ちたシスの暗黒卿と一体でありアメリカ南部国境を超えて危険な移民(トランプ大統領によれば薬物中毒者や頭がおかしくなった人が送り込まれていることになっている)を使ってアメリカの自由を破壊しようとしているとの主張だ。
トランプ関税によって経済が破壊されようとしているのになぜ一部のアメリカ人はトランプ大統領の支持をやめないのか?と不思議に思う日本人は多いようだ。
日本人の感覚からすれば「関税がインフレをもたらすのは当たり前」なので、日本人は「まともな経済政策が理解できないほど馬鹿な一部のアメリカ人だけがトランプ大統領を支持しているのではないか」と思いがちである。
ところが実際にはトランプ大統領を支持する中間層のアメリカ人も多い。彼らは例えば外国の地理や基本的な経済の常識を持たない。またメディアは左派的と見做されているため信頼されておらずポッドキャストやラジオなどの主張を信頼する傾向がある。
トランプ大統領の連邦予算打ち切りは低所得者層の生活を直撃すると言われているのだが、アメリカに中間層は必ずしも低所得者には同情しないかもしれない。
中間所得者のうちのトランプ支持者は今でもトランプ大統領が困難に打ち勝ってアメリカに製造業を戻してくれるのではないかと期待している。
トランプ大統領の投稿はそんなアメリカ人の心情には合致しているがスターウォーズファンにとっては致命的な間違いを含んでいた。ライトセーバーの色を間違えてしまったのだ。
スターウォーズの初期三部作はもともと共和制だった世界が「シスの暗黒卿」と呼ばれるダークサイドに堕ちた人たちに乗っ取られて帝国化するところから始まる。この帝国に異議を唱えた騎士たちを「ジェダイ」と呼び、彼らが組織したのが反乱軍である。
トランプ支持者たちはトランプ大統領を帝国(ディープスロートなどと呼ばれるアメリカ合衆国を陰で牛耳っている人たち)から解放してくれる騎士だとみなしているわけのだが、実はトランプ大統領が持っている赤いライトセーバー(光っているように見える棒のようなもの)はシス暗黒卿の象徴なのである。
つまり、文字で書いていることと絵柄がずれてしまっており「シス暗黒卿がジェダになりすまして民衆を騙そうとしている」という図柄になってしまっている。
スターウォーズは議会が腐敗していた状態から始まる。パルパティーン元老議員は各地に戦争の種を蒔き、議員たちが強い権力を求めるようになると非常大権(緊急事態条項にあたる)を使って元老院を掌握する。この非常大権を既成事実化して誕生したのが銀河皇帝パルパティーンなのだが実は「ダース・シディアス」というシスの暗黒卿だった。皇帝は最終的に議会を解散し全権を掌握した。
スターウォーズのエピソードは共和国アメリカ合衆国の専制政治に対する強い拒否反応をもとに作られている。パルパティーン議長の大権簒奪はナチスドイツやローマ帝国のエピソードをもとに作られているものとみられる。
現在トランプ大統領は「現在は戦争状態にある」と宣言し移民の強制送還を行っているが「自分達こそが優先されるべきだ」と考える普通のアメリカ人たちはこの政策を支持している。そこで司法の命令を無視して大統領の権限を拡張しようとしている。つまり緊急事態をでっち上げ徐々に大権を拡大するやり方はシスの暗黒卿そのものなのだ。
あるインタビューにおいてトランプ大統領は「憲法を守るのは自分の仕事ではなく弁護士の仕事」と言っている。つまり民衆に選ばれた自分は何をやっても良く、弁護士が憲法に合わせた形を作ればいいという立場。
今回の赤いライトセーバーはおそらくは単なる勘違いなのだと思うが、実情をよく表しており「偶然というのは出来過ぎ」という気もする。
Comments
“ダークサイドに堕ちていた トランプ大統領がシスの暗黒卿であると自白” への4件のフィードバック
本当に自己紹介になっちゃってますね。
でもまあ支持者の皆さんはそれでも気にする事無く手放しで称賛し続けるでしょう。
あの人達は日本の自称保守も含めて自分たちの生きてる世界だけが世界の全てと
本気で思ってる気はしてますし、自分達は選ばれた存在で無条件で偉くて正しい
とも思ってると感じずにはいられません。
そう言う人達からすれば違う価値観や民族や人種の存在は自分達の世界を脅かす
脅威としか映らないのではないかと思います。あとあの人達は自分達が弱者の身に
落ちる事を非常に恐れているのもあるでしょうから尚更だと思われます。
自分達がやってきた事を全部やり返されると思ってるんでしょう。だからこそ
力こそ全て!!になるんでしょうね。
今度はアメリカ以外の映画に関税をかけるぞ!とかおっしゃっているみたいですね。賞賛されるために色々考えるもんだなと思います。
上手く行かなかったら自国の映画やテレビドラマの検閲を始めそうな気が。
ハリウッドやディズニーは多様性重視傾向ですからそれこそトランプの
支持層が忌み嫌いそうな要素を多分に含んでいてますからね。ハリウッドは
極左に支配されてる!!とか絶対言い始めますよ。そしてクリスチャン・シオニズムの
価値観を押し付けてくるでしょう、確実に。
そうなると、どういう権限に基づくかが気になりますね。調べてみます。