カナダで総選挙が行われ与党自由党が勝利した。いくつかポイントになるところだけを簡単に抜き出す。
当初、ポワリエーヴル氏率いる保守党が政権を奪還するのではないかと言われていた。
しかしトランプ大統領が登場し自由党のトルドー首相が退任を発表。後任のカーニー首相は反トランプ色を全面に押し出した。選挙後の勝利宣言の席でもカーニー氏はトランプ大統領批判を展開した。
自由党は今回の選挙で第一党の座を維持したが、単独過半数は確保できなかった模様。少数政党を選んで連立政権を組むことになる。
この結果、直近の選挙で与党が政権を維持したのはイタリアだけになった。日本の少数与党状態は広い意味ではG7加盟国の「トレンド」に乗ったものと言えそうだ。背景にあるのは経済に対する不満だろう。
ポワリエーヴル氏は首相になるチャンスを逃しただけでなく、20年維持してきたオンタリオ州オタワの議席(カールトン)を失った。トランプ大統領に親和的な政策を訴え続けたのが敗因と見做されている。
ところがカナダは一枚岩ではない。石油の産出州として知られるアルバータ州はもともと補助金よりも支出の方が多いことに不満を感じる州民が多かったそうだが、自由党勝利により独立運動が激化する可能性があるそうだ。トランプ貿易戦争が長引けば石油を輸出するアルバータ州には経済的ダメージが大きい。
カーニー氏が勝利すれば、州内でくすぶる分離・独立運動に火をつけるとの声もある。アンガス・リード研究所の最近の世論調査によると、自由党が勝利した場合に、カナダから離脱して独立国家を形成することを望むアルバータ州民は30%にのぼる。
反トランプで団結のカナダ、保守牙城アルバータ州は例外-独立機運も(Bloomberg)