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ついにアメリカ市民が国外追放 1人は転移性のガン治療を断念

7〜10分

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本来ならば一つひとつをじっくりとお伝えしたいところだが、色々な崩壊が起きているため「ざっと」紹介するにとどめたい。アメリカ合衆国で市民権を持つ子供が母親と共に国外追放された。一人は珍しい型の転移性ガンを患っているそうだがホンジュラスでは治療は受けられそうにない。ルビオ国務長官は「子供と母親を引き裂くわけにはいかない」と嘯(うそぶ)いている。

保守派が強い最高裁判所はトランプ候補が「白いアメリカ」を取り戻してくれるのではないかと密かに期待したのではないかと思う。大統領の強い免責特権を認めトランプ大統領再選の道を開いた。

その後トランプ大統領は就任100日を待たずして想像以上の壊れっぷりを見せ司法を蔑ろにしはじめた。慌てた最高裁判所は司法プロセス(due process)を遵守するように求めているがトランプ政権は応じていない。アメリカのサイレントマジョリティ(物言わぬ一般大衆)の根強い支持があるからだ。

アメリカ市民と移民の間に生まれた子供が追放された。

ルビオ国務長官は「母親と子供を引き裂くわけにはいかない」と言っている。また「この母親はこうなることを予見できていたのに子供を作った」のが問題であると言い放った。

アメリカ合衆国憲法はアメリカ市民の追放を認めておらず、これは憲法違反に当たる可能性が高いとAxiosは書いている。

おそらくトランプ政権は望ましくないものがアメリカに「混じる」のを阻止したいのだろう。そのためには、アメリカ市民であっても純粋さを取り戻すためには望ましくない異物は国外追放されなければならないということだ。

問題はルビオ国務長官もまたキューバ系移民の子供(つまりヒスパニックである)という点にある。つまり内部にいる人が「一体誰がアメリカ人としてふさわしく、誰がふさわしくないのか」という線引きを始めると当然落とし所はないわけだから万人闘争状態がもたらされることになるだろう。

アメリカの成長は激しい個人間競争によって支えられてきたが、ルールなき個人間競争はアメリカの社会をこれまで以上に破壊するだろう。

AXIOSによると、子供の一人は珍しい型の転移ガンを患っているという。医療資源の乏しいホンジュラスでは治療を受けることは困難だ。また転移ガンなので治療ができなければ急速に全身転移することになる可能性が高い。

the group says, is a U.S. citizen suffering from a rare form of metastatic cancer, who was deported without medication or the ability to consult with their physicians.

What to know about the U.S. citizen children removed with their mothers(AXIOS)

中間層の没落が人種差別に転移している。普通のアメリカ人たちは原住民色の濃いヒスパニック系の増殖を望んでいない。彼らがアメリカ合衆国に来て子供を作ることを阻止するには出生地主義を廃止するか(これは憲法上の制約から実現が難しい)見せしめを作って誰かを国外追放するのが最も手っ取り早い。

いっけん「合理的」に見える行為は結果的にアメリカ市民である一人の子供の命を明確に犠牲にしている。

集団の差別意識の暴走がどんなに残酷なものになり得るのかがよくわかると同時に、アメリカ合衆国が「どんな人にでもチャンスを与える国」ではなくなりつつあるということがよくわかる。

我々は、ここから一旦芽生えた社会の残虐性は容易には消えないということを学ぶことになるだろう。おそらく「誰がアメリカ人としてふさわしく、誰がふさわしくないか」という線引きが行われることになるだろうが、この手の万人闘争に落とし所はない。

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