イランの南部港湾で大規模な爆発事故が起き少なくとも8名が亡くなった。イランとアメリカの間で核協議の再開に向けた会談が行われており関連があるかが主な注目ポイントとなる。ネタニヤフ首相は自分の地位を守るためにイランとの戦争のエスカレートを望んでおり、トランプ大統領は核合意がなければ自分が先頭に立ってイランを攻撃するかもしれないと宣言している。
今後の成り行き次第では石油価格や海運輸入物資の価格上昇に結びつく可能性もあり、金融市場の反応なども気になるところだ。
TBSの報道によるとイスラエルは関与を否定しているが、イランが強く反発すればもっともトクをするのはイスラエルということになる。
爆発が起きたのは南部都市バンダル・アッバース近郊にある同国最大の商業港シャヒド・ラジャイーだという。当局の発表によると8名が亡くなり750名が負傷したとされる。
各紙が一方を出しているが背景について断定的な報道はない。今後イラン政府がテロとみなすか単なる事故として報道されるかなどに注目が集まる。日本では共同通信が短く伝えている。
- Huge blast at key Iranian port kills eight and injures more than 750(BBC)
- Eight killed, at least 750 people injured after massive explosion in Iranian port(CNN)
- A massive explosion at an Iranian port linked to missile fuel shipment kills 8, injures around 750(AP)
BBCは港には弾道ミサイルの燃料があった可能性があるとしており、APもミサイルの推進剤であると書いている。つまり軍事拠点を狙った事故だった可能性がある。
アメリカ合衆国とイランの間では核協議に向けた話し合いが行われている。仲介国のオマーン政府によると協議は「建設的に終わった」ことになっている。
ネタニヤフ首相は政権を維持するために戦争の継続とアメリカ合衆国のコミットを必要としていた。今回の協議はイスラエルの頭越しで行われているため仮に何らかの合意が結ばれてしまうとイスラエルにとって不利な状況になりかねなかった。
一方でタイム誌のインタビューに答えたトランプ大統領は「協議が不調に終わった場合には自分が先頭に立ってイランを攻撃する」と発言していた。
タイム誌のインタビューには補足が必要だろう。前段「トランプ大統領の経済政策の行き詰まり」についての質問があり、トランプ大統領は自身の力強いリーダーシップが功を奏し、すべてが計画通りに進んでいると主張していた。
ここで「イスラエルがアメリカ合衆国をイランとの戦争に引き摺り込もうとしているのではないか?」との質問が出たため、トランプ大統領は「状況をコントロールするのはネタニヤフではなく自分である」と主張したかった。AFPがこの箇所を拾い「核合意不成立ならイラン攻撃、「私が先頭に立つ」 トランプ氏」と言う見出しを立てている。トランプ大統領が自身のリーダーシップを強調した場合、イランとアメリカの戦争は「トランプの戦争」と呼ばれることになるだろう。
APによるとイラン政府はこの事故をテロとは断定していないが「核合意に向けて警戒態勢にあった」と示唆しており、今後の推移に注目が集まる。