マイナンバーカードの口座登録は「選挙買収のための装置だったのだな」と感じた。公明党が盛んにマイナポイントの付与による経済対策を訴えているそうだ。
政府与党の「経済政策」案が二転三転していてどこから手をつけていいかわからないほどの混乱ぶりを見せている。昨夜から今朝にかけてもトーンが二転三転している。
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参議院選挙に対する危機感から政府与党内からは「なんらかの支給を検討すべきではないか」と言う声が高まっている。ところが執行部(石破総理は含まれない)は補正予算の導入や減税には応じない考えだ。
このため共同通信はこのような書き方になっている。与野党協議が必要な補正予算は編成せず「予備費」で対応できる範囲に抑えたい。予備費は結局のところ自民党の選挙対策特別予算と位置付けられていることがわかる。
与党内では、新たな経済対策として(1)ガソリン・コメ価格の引き下げ(2)電気自動車(EV)といったエコカーの購入補助金の拡充―などが浮上している。全国民一律の現金給付も選択肢にあったものの、見送り論が強まっている。
補正予算、今国会提出見送りへ 電気・ガス代補助は予備費活用(共同通信)
トランプ政権が場当たり的な対応を繰り返していることもあって「トランプ関税はそれほど強いものにはならないのではないか」と言う期待も高まっているようだ。要するになんの根拠もなく油断している。
トランプ米政権の高関税政策の影響を見極める必要があると判断した。
補正予算、今国会見送り 石破首相、米関税の影響見極め(時事通信)
ベッセント財務長官とトランプ大統領の間には意思疎通がないと見られおり、焦りを募らせたベッセント財務長官は「早く交渉した方が有利である」と発言している。一方、日本側には過去の経緯から「最も屈服させるのが容易な相手と思われているのではないか」と言う被害者意識がある。ベッセント氏に取り入って関税を甘くしてもらえないならば話し合っても仕方ないと考えているのだろう。
こうなると自民党としては「交渉が失敗した時の保険として予備費を取っておきたい」と言う要求が生まれる。さらに票になるかならないかわからない所得制限なしに支援よりも「確実に自民党に入れてくれそうな」人たちへの重点投資を行いたい。
これに対して公明党は幅広い給付へのこだわりを見せている。自民党の一部にある「どうせ貯蓄に回るだけ」という批判への答えとして「だったらマイナポイントで時限失効するポイントを配ればいいのではないか」と言い出した。口座登録は「買収装置」だったのだなと感じる。選挙のたびに端金を渡すことで票を買おうとしているのだろう。
損得勘定に基づく議論のため、この数日のやりとりを見ても
- 支給か減税か
- 支給も減税も
- やっぱり支給はやめたい
- だったらマイナポイントはどうか
- いややっぱりやらない
と情報が錯綜している。最新報道では次のような表現になっている。一旦補正はやらないと言っておきながら「やっぱり再調整する」というのだ。
政府、与党は16日、2025年度補正予算案の今国会提出見送り方針を受け、物価高やトランプ米政権の高関税政策に対応する経済対策の再調整を急ぐ。25年度予算に盛り込んだ予備費を活用し、夏の暑さ対策として6~8月の3カ月に電気・ガス代の補助を検討する。政府、与党の方針が定まらない現状に野党から批判も出そうだ。
経済対策、再調整急ぐ 政府・与党、補正予算見送り(共同通信)
ここまでの議論を見ていると「なんだ政府・与党は頼りないなあ」と言う印象になる。
一方の立憲民主党はさらに混乱している。枝野幸男氏の「ポピュリズム」と言う言葉が一人歩きしており「ああやっぱりこうなったか」という絶望感がある。
江田憲司氏や吉田晴美氏らは「給付付減税控除」を推進していてこれが実現するまでのつなぎとして消費税の食品部分の減免を要求している。そもそも複雑な物品税を整理するために生まれた消費税を「所得に応じた割り戻し」でさらに複雑化させようと言う悪手にしか見えない。
さらにここに「とにかく埋没したくない」小沢一郎氏が参戦し「枝野は傲慢だ」と言い出した。江田憲司氏はポピュリズム批判は言論封殺であると強いトーンで枝野氏を批判している。
野田佳彦氏は「ポピュリズム批判ではなく政策議論をする」と言っているが分裂状態にある党内を収めることができておらず、外から報道だけを見ていると万人闘争状態にしか見えない。
自動車労連を背景に持つ国民民主党の玉木雄一郎氏は「だったらこの際に自動車も売り込んでやろう」と考えたようだ。
玉木代表は、消費税の一律減税は、米国の関税措置に対して「国内で打てる大変有効な措置になる」と指摘。特に影響を受ける可能性の高い中小企業や自動車関連産業の雇用を守り、賃上げの流れを維持する上で効果だと語った。
消費税の一律減税はトランプ関税に有効、暫定導入を-玉木国民代表(Bloomberg)
「日本にとって日米同盟の変質は何を意味するのか」と言う議論は行われず、票を買うには国家予算をどう使うのが政党にとってトクなのかと言う議論が盛んに行われていることになる。こうなると受け手の側も「消費税がなくなった方がトクなのか商品券かポイントをもらった方がトクなのか」と考えたくなる。結果的に一時金で誤魔化されるよりも税金がなくなった方が良いと言う結論になるだろう。
それ以上難しいことを考えるのは馬鹿馬鹿しい。
金融市場はこの状況をかなり冷静に見ており短期国債は安全資産だが長期的には日本の財政は悪化するであろうと評価しているようだ。
ちなみに政治記者たちの間には「石破総理は消費税減税で衆議院を解散するのではないか」と考える人たちがいる。石破総理にとっては国会財政や自民党の存続よりも自分の政権維持の方が重要なのである。
この説に従うと、一旦は「給付は限定的にして減税も行わない」としながら、最終的に「消費税減税をやらせてほしい」と訴えた上で「国民に審判を求める」として解散に打って出ることになる。選挙後に自民党の分断は強まるかもしれないが「とりあえず目先の選挙を乗り切ろう」と石破総理は考えていることになる。
- 「政権失うことを考えたら安いもんだ」石破総理が参院選に向けて消費税減税を検討 政治ジャーナリストが解説(AbemaTV)
- 「石破首相は消費減税をやりたいと…」田崎史郎氏、経済対策を巡る自民党内の動きを説明(スポニチ)
- 現金給付か消費減税か「石破首相は迷いに迷っている」選挙の年の“物価高対策”石破首相の本音を政治ジャーナリストが解説(FNN)
「選挙中心政治」の成れの果てだが、確かに選挙対策としては極めて効果的ということになりしばらくの間は国民の間に不安感を高めることでジリジリと減税欲求を高めてゆくのが(少なくとも石破総理にとっては)得策ということになるだろう。
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