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「自由の女神を返せ」という声まで 崩壊するアメリカの自由と繁栄

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ついに「自由の女神を返せ」という声まで出ているそうだ。トランプ大統領によってアメリカ合衆国の自由と経済的繁栄が崩壊しつつある。論評はできるだけ控えることにしてその様子を見てゆこう。

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フランスのある政治家が「自由の女神の返還」を要求している。カナダでも反米運動が盛り上がっており「先進国被害者クラブ」が結成されそうな勢いだ。

学問の自由を求めてアメリカ合衆国に渡った人は多い。カースト制の厳しいインドでは下級カーストの優秀な人達が多くアメリカに渡りIT産業の担い手になった。ところがあるインド人がコロンビア大学大学院卒業寸前で勉学の成果をなげうってインドに帰国した。政治的行動のためにICEに付け狙われているのだ。自由に自分を表現しただけでこれまでの時間的投資をすべて諦めなければならないのが今のアメリカなのである。

かつて日本人・日系人は突然すべての財産を没収され収容所送りになった。敵性外国人法のせいだった。今回この法律が持ち出され移民がエルサルバドル送りになっている。政権は「移民がアメリカの治安を脅かしているのだから戦争も同然」と主張する。

レビット氏はさらに、大統領には外交に従事し「外国人テロリストを米領土から排除し、宣言されている侵略を撃退する」権限があることが憲法に定められていると主張した。

ホワイトハウス、判事命令と「矛盾ない」-戦時法行使の容疑者移送で(Bloomberg)

不法移民たちはあるときは足かせをつけられまたあるときはカメラの前で跪かされて髪を剃られている。まるで見せしめだ。ただ現在のアメリカは自分たちで敵性外国人を収容するようなことはしない。面倒なことはお金を払ってエルサルバドルにアウトソースする。

日本にも移民を適しする人たちは大勢いる。「これくらいなら構わないのではないか」と考える人もいるだろう。だが政権が失敗を隠蔽するために内なる敵を名指しするようになると歯止めが効かなくなる事が多い。独裁国家ではよく見られるある意味ありふれた光景だ。

トランプ大統領とその支持者たちが何かと戦っていることは間違いないのだが一体何と戦っているのかがよくわからない。しかし戦っているのはトランプ支持者だけではない。

かつて労働者の党とされてきた民主党はいつのまにか意識高い系の巣窟とみなされるようになった。今では政府機能を麻痺させてでもトランプ大統領に抵抗すべきだという人たちが増えているようで民主党の支持率が下がっている。チャック・シューマー氏らが政府閉鎖を避けるためにトランプ政権の予算案に賛成したことで党内にも亀裂が入っているという。まず穏健な中間階層が離反しさらに穏健な理想主義者が離反する。すると残るのは過激な集団だけということになる。

日本でもよく見られるありふれた構造だが、過激化に支配されてしまうと穏健な人たちは二度と戻ってこなくなる。

ただし、トランプ大統領が破壊しているのはアメリカの自由だけではない。アメリカが正常な状態に戻るためには「ちょっとしたショックは必要」ということになってしまっている。

トランプ政権は米国の主要貿易相手国・地域に対する関税の脅しをエスカレートさせたりたびたび変更したりする一方で、リセッション(景気後退)リスクを巡る懸念の緩和にはあまり努めていない。トランプ氏は9日、米経済は「過渡期」にあると発言。ベッセント財務長官は米国と市場は「デトックス」を必要としているとの考えを示した。

パウエル議長に難題、景気不安緩和と必要なら行動する用意の意思伝達(Bloomberg)

投資家も消費者も「何かが壊れかけている」と感じ始めており、バイデン政権で始まった(急速なインフレを伴った)アメリカの一人勝ち時代が終わりを迎えようとしている。FRBは何らかのメッセージを発出することを期待されているようだが、震源地はトランプ政権でありショックを完全に抑えることは難しいだろうと見られているそうだ。消費関連株が下落を始めた。

トランプ大統領を支持する日本人も多い。普段の生活において実名で社会規範に抗えない人たちが匿名で「倫理を超越してくれる超人」を求めてしまうのだろう。気持ちがわからなくはない。

しかし、ロシアはトランプ大統領がキリスト教的倫理観に縛られた御しやすいオリガルヒであると見抜いている。彼がもたらしつつあるのは混乱であり「超人による規範へ挑戦」などではない。

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