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アメリカの株価が下げ止まる

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アメリカの株価が下げ止まった。

しかしかつての勢いが戻るとも思われていない。

Bloombergなどを中心に株価と景気について短めにまとめた。

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先日お伝えしたように先行指標であるクレジット市場は動揺せず「株価の大幅な下落はなさそうだ」ということになった。今朝の株価は下げ止まっており若干反発といったところ。しかしヒトとモノの移動の指標となる運輸セクターは不調であり景気減速の可能性じたいは高まっている。

きっかけはトランプ大統領の株価など気にしないという発言なのだが、かねてよりあった「アメリカ例外主義は長続きしないのではないか」という現実的な懸念から調整局面に入ったのかもしれない。いずれは終わるまつりだったのだ。

これまでアメリカ経済は過熱状態にあった。アメリカの比較的裕福な家計と退職したばかりの人たちが金融商品資産の値上がりを背景に積極的に消費を牽引してきたからだ。

しかしながら人々は先行きに不安を感じ始めていて、消費マインドは2年前の状況に戻ってしまった。景気後退とインフレの高止まり=スタグフレーションを予期する人が増えている。特に退職したばかりのベビーブーマーたちの資産は今後も回復しない可能性があるという。先行き不安を感じた人々はこの先も消費しなくなるだろう。日本人のデフレマインドを見てもわかるが初期値は極めて重要だ。

FRBも難しい金融政策運営を強いられている。夏までは今の高金利を維持し秋に二段階引き下げるのではないかと言う見方が浮上している。つまりインフレは収まらずそのままリセッションに突入するのではないかという予測になる。現在は市場の動揺をいかに抑えるかに関心が集まっている。

投資に慣れた人たちはリセッションシフトに入った。高成長セクターよりもヘルスケアなどの必需品のほうが「防衛的な資産形成」ができるそうだ。Bloombergはこれをスタグフレーショントレードと言っている。

一方、過去の成功体験(株価下落は一時的でその後に上がっている)を学習している個人投資家は米国買いを継続しているそうだ。

FRBの政策はそれなりに信頼できそうだがトランプ大統領の発言はいよいよ混乱している。バーボンウィスキーに関税をかけるならこっちはワインやシャンペンに200%の関税をかけてやると言い出した。もはや理屈なき泥仕合だ。ワイン・シャンペン・バーボンウィスキーは「味+原産国への憧れ」で決まるが大西洋を挟んだ泥試合でその価値は大きく毀損しつつある。

政権はこうした経済の不満をそらすために敵を作りたい。そこで親パレスチナのデモ指導者を国外退去させることにした。各地で反発運動が盛り上がっている。ルビオ国務長官は「特別な待遇を与えて勉強させてやっていただけで言論の自由などない」と言い放った。

さらにトランプ大統領はチャック・シューマー氏をパレスチナ人呼ばわりした。いうまでもないことだがシューマー氏はユダヤ系から尊敬を集める長老的指導者である。「汚らしい敵」扱いされたパレスチナ人が怒るのは当然だが、ユダヤ系も尊敬する長老を口汚く罵られたことで反発しているという。

ドナルド・トランプ米大統領は12日、民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務に対し、「パレスチナ人」という言葉を侮蔑的に使用して攻撃した。米国で最高位の公職者でユダヤ系であるシューマー氏に対するこの発言は、ユダヤ系団体とイスラム系団体の双方から非難されている。

トランプ氏、「パレスチナ人」を侮辱語で使用 ユダヤ系民主党上院トップに対し(AFP)

作用反作用の法則というが締め付けがきつくなればなるほど抵抗運動も盛り上がる。トランプ政権はバーボンウィスキーから表現の自由までこれまでアメリカ人が大切に育ててきたものの価値をブルドーザーのように破壊しつつある。

民主主義とは恐ろしいものだ。

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